1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08451028
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松田 文子 広島大学, 教育学部, 教授 (50118048)
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Keywords | 運動刺激 / 時間判断 / 距離判断 / 発達的研究 / 知識 / 論理的操作 / 教育的介入 |
Research Abstract |
CRTディスプレイ上を2つの動体が同方向に水平に動くとき、その運動時間、運動距離の比較判断は、子どもにとって意外に難しい。その原因はなになのだろうか。出発時・地点や到着時・地点の同異の認知が難しいのだろうか。知識や論理的操作の問題なのだろうか。そしてその原因は、発達的にどのように変わるのだろうか。本年度行った主要な実験は3つである。 実験1:同時出発・同時到着で走行時間の等しい場合(出発地点・到着地点が異なる)、なぜ走行時間判断が難しいのか、その原因を発達的に特定するため、通常の運動刺激の課題の他に、運動要因、空間的要因を順次除いた易しい課題を作り、個別に実験して、判断の理由を言わせ、出発・到着時点の同異に正しく言及して「走行時間が同じ」という正答が、どのレベルの課題で可能になるかを調べ、さらにできなかった課題の一番易しい課題から順次、同じ論理が適用可能なことを教え、どのレベルの課題まで学習が可能かを調べた。同様のことを出発時点と到着時点の両方が異なるが、走行時間の正しい比較が、やはり出発・到着時点の同異から論理的に導ける課題についても調べた。被験者は幼稚園児、小2、小4、小6の子どもで、これにより、この課題の難しさの原因が、発達的にほぼ完全に明らかにされた。さらに、距離判断についても、同様のことを調べた。 実験2:高校1、2、3年生を対象に、上記のような学習をプロジェクターを用いて、学級単位で一斉に行った。高校における物理学習との関係や転移効果も調べた。データはまだほとんど未整理。 実験3:「時間=終了時刻-開始時刻」の知識と「時間=距離/速さ」の知識の使い分けと統合について、中学生を調べプロトコル分析を行っている。データはまだほとんど未整理。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藍 〓〓・松田文子: "中学生における2つの動体の時間と距離の比較判断" 発達心理学研究. 8・3. 1-10 (1997)
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[Publications] 松田文子・原 和秀・藍 〓〓: "2つの動体の走行時間、走行距離、速さの小学生による比較判断-走行時間の判断-" 教育心理学研究. 46・1. 31-41 (1998)
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[Publications] 藍 〓〓・松田文子: "子どもにおける2つの時間の論理的比較判断の難しさ" 発達心理学研究. 9・2. (1998)