1996 Fiscal Year Annual Research Report
美術学習における自己表現の歴史的研究-大正期の美術教育運動を中心にして-
Project/Area Number |
08451060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
都築 邦春 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60006583)
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Keywords | 自由画 / 自由画教育 / 山本鼎 / 木下紫水 / 新定晝帖 |
Research Abstract |
山本鼎によって始められた自由画教育運動は、実質的に、日本における美術学習上の自己表現を認めた最初の運動であった。自由画教育運動は、長野県に於ける第一回と第二回の児童自由画展が成功したことにより、全国に「 燎原の火」のごとくに広がった。この二回の児童画展の中心になったのは、飯田市の龍丘小学校の教師であった木下茂男(紫水)が指導した自由画であった。そのため、今回は、木下が指導した自由画が残されている長野県飯田市の龍丘小学校を訪れ、自由画を記録することと、自由画教育に関連する資料を収集することを主な目的とした。 1)自由画教育運動の中心となった長野県飯田市を訪ね、運動当初の「自由画」をデジタルビデオカメラでテープに記録し、カメラでスライドに撮った。 2)デジタルビデオカメラで撮った画像はMOディスクに保存し、カメラで撮ったスライド用のポジフィルムをもとに、画像をCDに保存した。 3)飯田市立座光寺小学校で、木下茂男(紫水)の研究が基になっていると思われる「下伊那手工圖晝研究會編」纂の『新定晝帖詳解』の尋常小学第一学年、第三学年、第四学年、第六学年分の文献を複写した。 4)龍丘小学校の関係者から、木下茂男と当時の龍丘小学校の自由教育及び、地域の状況について聞き取りをし、ミニディスクに記録した。 今後は、当時の国定教科書であった『尋常小學新定晝帖』を研究した後、木下茂男が『新定書帖』を捨てて自由画を実戦したのはなぜか、という点について、『尋常小學新定晝帖教師用』書、山本鼎の著書・論文や当時の美術教育関係の著書と比較検討しながら考察する。
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