1998 Fiscal Year Annual Research Report
近世における教育交流に関する基礎的研究 -昌平校留学者の活動と藩校教育への影響を中心に-
Project/Area Number |
08451066
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
関山 邦宏 和洋女子大学, 家政学部, 教授 (30179345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 昭彦 国立教育研究所, 教育政策研究部, 主任研究官 (80189480)
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Keywords | 昌平校 / 書生寮 / 教育交流 / 入門簿 / 書生寮姓名簿 / 登門録 |
Research Abstract |
本研究の課題は、昌平校留学者の分折をとおして、諸藩における教育文化の展開の諸相を解明することにある。この課題を達成するため、(1)諸藩からの昌平校留学者の全体像を把握するための基礎資料の調査・復元、(2)昌平校留学者の学習活動と帰郷後諸藩での教育改革・教育実践に彼らが果たした役割の調査・解明、を具体的目標として設定した。 本年度において(1)については、享和年間(1801〜4)に昌平坂学問所構内に諸藩士や浪人等の非幕臣を対象として幕府の正規の施設として開設された「書生寮」に入寮した者の名簿である「書生寮姓名簿」(東京都立中央図書館蔵)を調査した。その結果弘化3年(1846)から慶応元年(1865)までの入寮者504名を特定することができた。また幕府儒官であった佐藤一斎・河田迪斎の私塾へ入門した者の名簿である「登門録」(東京都立中央図書館蔵)を調査し、天保10年(1839)から安政7年(1860)までの入塾舎457名を特定することができた。(2)については、米沢藩と佐倉藩を例に「升堂記」「書生寮姓名簿」「登門録」に見いだされる者の個人情報の収集に努めるとともに帰郷後の事跡について調査した。その結果米沢藩においては書生寮に学んだ小見鍋蔵が慶応2年(1866)の藩校興譲館の学制改革に際して中心的な役割を果たしていたことが判明したが、その詳細についてはさらに今後の研究にまたなければならない。 なお、「書生寮姓名簿」と「登門録」は昌平校留学者の全体像を把握するための基礎資料としてその史料的価値のきわめて高いことにかんがみ、第3次報告書として索引を付して翻刻・刊行した。
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