1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08451072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 勝生 北海道大学, 文学部, 教授 (90044726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木沢 旭児 北海道大学, 文学部, 助教授 (10206287)
高木 博志 北海道大学, 文学部, 助教授 (30202146)
河内 祥輔 北海道大学, 文学部, 教授 (80013283)
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Keywords | 天皇 / 朝廷 / 文化財 / 陵墓 / 民族 |
Research Abstract |
平成8年度(1996年)には、宮内庁書陵部で、鷹司家の文書を系統的に調査し、「鷹司政通記草」などを史料収集し、近世後期の朝廷に重要な位置を占めた鷹司家に係わる事実関係を検討した。また、維新史料稿本のなかの天皇・朝廷に関する史料をひろいだす作業をすすめ、特に、開国という外交条の事件と天皇・朝廷の係わりについて、基礎的な史料を集積することができた。。 奈良県立図書館所蔵の『奈良新聞』や、奈良県庁文書、あるいは『京都日出新聞』のマイクロ資料や、地誌類から、陵墓、史蹟名勝、古社寺保存などにかかわる項目をひろいだした。特に橿原神宮の神苑の形成とかかわって、洞部落が強制移転させられた事実の発見は、従来の神武陵の聖域化に洞部落が抵触したとの通説に修正を迫るののである。また、国立国会図書館、宮内庁書陵部、国立公文書館、東京国立文化財研究所、東京国立博物館などの機関において、天皇陵や皇室と文化財・美術の保存にかかわる史料調査を行なった。特に皇室の来世観が明治維新でいかに変化したかについて検討をすすめた。また沖縄県八重山郡石垣島の市立博物館・図書館や竹富島の喜宝院蒐集館などで、小学校を中心にして明治期の地域社会に、天長節や御真影が在来文化と葛藤しつつ浸透して行く様を調査した。 日清戦争中の韓国東学農民軍の運動と日本軍の弾圧の事実関係について、防衛庁防衛研究所図書館、外務省外交史料館などを調査し、また、当時の知識人新渡戸稲造や志賀重昂、政府官僚の植民地や民族に関する言説について調査を行い、民族差別意識の形成について検討を加えた。これは天皇制の大きな枠組みの形成と確立の基盤についての研究になるものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 白木沢旭児: "馬場・結城財政下の通商政策" 荒木幹夫編著『近代農史論争』文理閣. 235-247 (1996)
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[Publications] 高木博志: "近代天皇制の文化史的研究-天皇就任儀礼・年中行事・文化財" 校倉書房, 400 (1997)