1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08451085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
工藤 雅樹 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30132004)
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Keywords | 平安時代 / 東北地方北部 / 高地性集落 |
Research Abstract |
平成八年度はこれまでに知られている北日本の平安時代高地性集落に関する情報を収集整理し、さらに次年度に岩手県岩手郡西根町寺田に所在する暮坪山遺跡の第三次発掘調査を実施するために遺跡の現状を確認するための踏査と、岩手県北部に所在する高地性集落遺跡の所在確認調査を実施した。 その結果、暮坪遺跡は海抜430メートルの暮坪山の頂上一帯に広がり、20個内外の竪穴住居跡がくぼみとなって観察できること、集落のまわりはけわしい斜面になっていること、集落の主要部を囲むように段が確認でき、これが本来は堀である可能性が考えられることが判明し、次年度はこの点を確認することをも目的の一つとする発掘調査を実施することとした。また実地踏査により、暮坪遺跡の付近にはまだ学界に知られていない多くの高地性集落が存在することも確認できた。 また今年度は、西日本の弥生時代の高地性集落、南九州の隼人の集落および南島のグスクの踏査およびその出土遺物の観察を行ない、北日本の平安時代高地性集落との比較研究を行ない、北日本の平安時代高地性集落が外敵防御の機能を備えていることを確認することができた。 以上の成果をふまえ、次年度は暮坪遺跡の規模、構造、年代を確定するための発掘調査を実施し、また他の遺跡の状況把握にもつとめて、北日本の平安時代高地性集落の実態にせまる研究を行なう予定である。
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