1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08451086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
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Keywords | 年代測定 / 放射性炭素 / AMS(加速器質量分析) / 縄文土器 |
Research Abstract |
各地教育委員会、埋蔵文化財センター、埋蔵文化財調査事業団等の協力を得て、繊維土器や炭化資料が付着した縄文土器片および同層の木炭や貝殻の提供を受けた。縄文がなるべく鮮明に残されていて、形式が明確に同定されている土器片を選択した。 繊維土器としては、埼玉県を中心として関東地方に広く分布する関山式土器片を入手した。土器の強度を増すために加えられている植物繊維は、土器の焼成時に酸化雰囲気下で加熱されたことにより、表層部分はほぼ燃焼して失われていたが、中心部分は黒色を呈し、炭素成分を保持していた。破壊分析を許された資料について、炭素成分を抽出し年代測定試料とする予備実験を行った。また、資料は、表面に何らかの炭化資料が認められるものを選択したので、同時に、この炭化資料を取り出し、汚染除去の化学処理を行い、同様に年代測定試料を調製した。 今年度の主な目標は、これらの測定試料および同層の木炭・貝殻の年代を決定し、測定用の資料部位、化学処理法の可否を検討することであった。しかし、共同利用で使用する予定の加速器質量分析(AMS)装置が、製造メーカーの設計不良などが重なり、炭素年代測定に使える状態に至らなかった。施設側と協力して解決にあたって来た結果、ほぼ見通しが立ち、平成9年夏以降には誤差40年以内の測定が実現できるものと思われる。これによって、土器に含まれる物質によって直接年代を決める研究が、初めて系統的に行われることになる。 さらに、今回入手した資料の内には、これまで年代値がほとんどない縄文時代草創期の隆起線文土器から採取した炭化資料も含まれるので、新しい知見が得られるものと期待されている。
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[Publications] 吉田 邦夫: "年代をはかる" ウロボロス. 1,No.2. 11-13 (1996)
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[Publications] 吉田 邦夫: "石器出土層の放射性炭素年代測定-新AMSシステムによる年代測定-" 東海大学校地内遺跡調査団報告. 7(印刷中). (1997)