1996 Fiscal Year Annual Research Report
宮城県における伝統的方言体系の記述とその変容についての研究
Project/Area Number |
08451091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 正信 東北大学, 文学部, 教授 (90004035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (20160400)
小林 隆 東北大学, 文学部, 助教授 (00161993)
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Keywords | 宮城県方言 / 中新田町方言 / 記述的研究 / 音韻 / アクセント / 文法 / 語彙 |
Research Abstract |
伝統方言の崩壊が激しい今日、方言研究において記述的調査は重要な課題のひとつである。宮城県は仙台市以外の地域の方言が十分明らかになっておらず、適当な地点を選定しての緊急な調査が求められている。そこで、宮城県の平均的な集落規模をもち、伝統的方言を比較的保存していると思われる加美郡中新田町を調査地点として選定した。そして、この地域の方言の体系的な記述調査を実施した。 調査項目は音韻・アクセント・文法・語彙の全般にわたり、各分野ごとに詳細な調査票を作成した。調査者は、研究代表者と分担者のほか、東北大学の方言関係者によって組織した。話者は、生え抜きの高年層を中心に、比較のために若年層を加えた40名を選定した。また、徹底した調査が行なえるよう、3回にわたって現地に赴いた。 結果として、(1)音韻は、広いエを加えた6母体系であり、子音の有声化と鼻音化に特色をもつこと、(2)アクセントは無型化に複雑な変化がからみあっている状態にあること、(3)文法は、格助詞「サ」を広範な用法で使用し、可能表現では「ニイ-(肯定)」「〜レル・ラレル(否定)」を用いるところに特徴があること、等の点が明らかになった。これらの成果については、「宮城県中新田町方言の記述的調査報告」『東北文化研究室紀要』38 (1997年3月刊行予定)に報告した。 来年度は最終年度にあたるため、補充調査によりデータを捕捉し、語彙も含めた全体的な報告書を取りまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)