1997 Fiscal Year Annual Research Report
宮城県における伝統的方言体系の記述とその変容についての研究
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08451091
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
遠藤 仁 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (20160400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆 東北大学, 文学部, 助教授 (00161993)
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Keywords | 宮城県加美郡中新田町方言 / 記述的研究 / 世代別調査 / グロットグラム調査 |
Research Abstract |
中新田町方言の記述調査は、(a)全体調査と、(b)個別調査との2つに分けているが、本年度は方言体系上特色が見られ、かつ研究が手薄だった部分について個別調査を中心に実施した。特に、「格表示体系」「活用体系」「テンス・アスペクト」「条件表現」「意思・推量表現」「可能・自発表現」「待遇表現」などの文法分野、また「曖昧アクセント」について、昨年度の調査結果も踏まえ、詳細な記述を行っている。語彙については、東北大学に所蔵されている小林好日博士の通信調査資料や近世方言書との比較、中央語史との関りなどを中心に、史的変容を跡付けた。 さらに、以上の伝統的方言の記述的研究を踏まえ、今年度は新たに変容の実態を解明すべく年代別調査とグロットグラム調査を実施した。年代別調査は、高年層・中年層・若年層の3世代を対象とし、当該地方の伝統的方言に変容の加わった現代方言体系の記述を意図している。また、中核都市仙台の影響を明らかにするために、仙台市から中新田町までの8地点について、20代から70代の6名を対象とし、グロットグラム調査を行った。以上から、中年層、とりわけ40代以上の話者は理解語も含めて伝統的方言をよく保存していること、また共通語化の著しい昨今にあっては、高年層とて例外ではなく、語彙においては伝統的方言と共通語との間に意味分担が生じている例なども観察されている。また、グロットグラム調査からは、中核都市仙台の影響が漸移的に周辺地域に及んでいるさまを読み取ることができ、ともに変容の実態の諸相を明らかにしている。
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Research Products
(1 results)