1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08451094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
徳川 宗賢 学習院大学, 文学部, 教授 (70000403)
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Keywords | 国語調査委員会 / 口語法調査報告書 / 口語法分布図 / 上田万年 |
Research Abstract |
明治期に文部省内に設置された国語調査委員会の行った活動の中で、音韻と口語法(話しことばの文法)に関する方言調査は、特に注目を集めるものである。上田万年の指導のもとで実施されたこの調査は、世界の方言研究史の中でも出色のものである。口語法に関する調査結果は『口語法調査報告書』2巻と『口語法分布図』37葉として公刊された。 『口語法分布図』は、報告書の結果を整理して展望するためにまとめられたものであるが、そこに現出した東西両方言の対立は目を奪うものであって、そこからながくその後の日本の方言研究の中核をなしてきた方言区画論が発展した。 しかしいまつぶさに『口語法調査報告書』を検討すると、どうしたことか報告書の内容と分布図の間に差が見出だされる。ひとつには報告書の内容が複雑なため、それを37葉に要約する際に生じたズレが原因であろう。 そこで今回は、『口語法調査報告書』の内容をできるだけ正確に白地図に移すことを考えた。この研究の成果によって、真正の明治期の方言の実態が明らかになり、あわせて『口語法分布図』の性格が開示されると期待される。 今期は上の目標を達成するために慎重な準備を行い(会合数回・報告書の複製・必要な白地図等の用意など)、多数の協力者の力を借りて地図化を実行している。
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