1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08453002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 正實 東北大学, 経済学部, 教授 (20112138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 重良 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (00004193)
平本 厚 東北大学, 経済学部, 教授 (90125641)
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Keywords | 産業空洞化 / 生産システム / 労働問題 / グローバル化 / グローバル戦略 / 雇用問題 / 人事・労務管理 |
Research Abstract |
今年度は,本研究の初年度として,日本企業のグローバル戦略の実態を明らかにするために企業の本社インタビューに重点を置いた(計14社)。産業空洞化のメカニズムを明らかにし,国内の生産システムにかけられている制約条件を明確にするためである。並行して,政策当局や業界団体での文献・資料収集やヒアリングにも努めた。その結果,得られた知見は以下のとおりである。 1.生産のグローバル化は1990年代に入って一層加速している。その動機は,現地市場の確保,コストなど産業毎に異なるが,いずれも単なる製造機能だけではなく,製品開発・設計や研究の現地化まで指向している。それらは管理機能の現地化をも要請している。 2.しかし,なお研究・開発機能のほとんどは国内に残っている。 3.グローバル戦略のもとでの国内工場の位置づけは,国内市場への対応という点ではほぼ共通しているが,国内市場は国内工場から供給されるとは限らない。家電,電子部品では,海外拠点からの供給が多い。 4.供給面での国内工場の意義は,試作から量産立ち上げ機能を担う,高難度技術製品の供給,日本でしか調達できない部品による製品供給,短納期製品の供給,などである。とくに最近は製品寿命が短くなってきており,それへの対応が重要な任務となっている。 5.変化が激しく,性能・品質要求が厳しいなどの点でグローバル化しても日本市場は重要であり,それに対応しうる国内工場の重要性は失われていない。 6.しかし,それは国内生産の性格が大きく変化したことを意味している。工場規模は縮小せざるをえないし,工場の内容も熟練技能者や間接員を中心とするようになっている。雇用の縮小や下請の再編,また従業員の教育・訓練,配置転換が問題となっている。
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