1997 Fiscal Year Annual Research Report
米国におけるマクロマーケティング研究の進展に関する包括的サーベイ
Project/Area Number |
08453014
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
薄井 和夫 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (60151859)
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Keywords | マクロマーケティング / マーケティングと開発 / マーケティングと生活の質 / マーケティング史 / マ-ティングとジェンダー / マーケティング理論 |
Research Abstract |
本年度は、研究の2年度目として、1976年以来、毎年開催されている米国マクロマーケティング・セミナーの全報告書のタイトルをデータベース化し、その内容的検討を行なった。 マクロマーケティング研究は、マーケティング研究=マーケティング管理研究という観念が強固に形成された後に、それへの反省を込めて台頭してきた。このためマクロマーケティング-セミナーは、当初から、通常のマーケティング研究=ミクロマーケティング研究との区別を強く意識し、その方法的議論が活発に行なわれ、「(l)マーケティング諸制度の研究、(2)マーケティング諸制度の社会への影響と結果に関する研究、(3)社会のマーケティング諸制度への影響と結果に関する研究」というS・D・ハントの規定が一般に採用されるようになった。こうした努力にもかかわらず、当初は、たとえばP・コトラ-のメガマーケティング論をマクロマーケティングに含めるなどの混乱も生じていたが、近年では、「マーケティングと開発」、「マーケティングと生活の質」、「マーケティング史」という3つの専門分野が有力になってきている。だが、マクロマーケティング研究に本来含まれるであろう先進諸国の国際比較分析の位置づけなどについては、なお曖昧さが残されている。こうした弱点については、戦前の配給論研究という、独自のマクロマーケティング研究の伝統を持つわが国研究者が積極的に関与することによってこそ、克服されうるであろう。 以上については、日本流通学会において成果を報告した。 このほか、本年度は、本研究の一環として、マーケティング史研究に関する著作をまとめ、文部省研究成果公開促進費を申請し、さらに、上記3分野全体にかかわる有力な論点のひとつとして、マーケティングとジェンダーに関する学会報告を行なった。このットピックはわが国で初めてのものであるが、次年度、論文として公表される予定である。
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