1997 Fiscal Year Annual Research Report
企業の社会的責任に関する学説・理論についての体系的・総合的研究
Project/Area Number |
08453017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桜井 克彦 名古屋大学, 経済学部, 教授 (30022461)
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Keywords | 企業の社会的責任 / 企業と社会 / 社会的責任の学説史的研究 / 経営原理の再構築 |
Research Abstract |
平成9年度においては企業ないし経営者の社会的責任に関する内外の学説・理論を文献研究および研究者・研究機関との意見交換によって確認・整理するとともに、これら学説・理論の体系的・総合化に向けて、以下の2つの角度から研究を進め、成果を得た。 第1に、社会的責任研究の流れを整理せんとする主要な試みの幾つか、すなわち、社会的責任についての理論と価値の双方よりする初期的研究、それに続く企業社会反応に関する研究、およびその後の経営倫理研究という一連の連続する流れとして研究動向を把握する試み、社会的責任についての規範理論研究、技術論研究および実証理論研究という逐次生起的にして併行的な流れとして研究動向を捉える試み、等に重点を当て、本研究の目的に対するこれらの試みの意義と問題点を明らかにした。なお、その結果の一端を社会関連会計学会で報告するとともに、「社会関連会計研究」誌に「社会的責任論の現状と課題」として掲載した(印刷中。平成10年5月刊行予定)。 第2に、社会的責任に関する学説・理論の十全な体系化・総合化のためには社会的責任問題の企業経営的意義を企業経営の本質的動向に即して理解することが不可欠であるという認識の下に、企業と経営者、経営環境、経営政策(経営目的と経営戦略)等の経営学研究の基本問題を「企業の社会的責任」および「企業と社会」を中核とする切り口から考察した。社会的責任問題の経営理論的ならびに経営政策論的な会計(経営学的解明)のため基礎が固められるとともに、社会的責任関連の学説・理論の体系化・総合化への更なる手掛りが得られた。かかる成果は近く公刊予定の経営学原理関係の単著の1部を構成する。
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