1996 Fiscal Year Annual Research Report
振動数の微細構造に基づく太陽内部回転の実証的決定とその長期変動の吟味
Project/Area Number |
08454048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴橋 博資 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30126081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 将郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研
小林 直樹 東京工業大学, 理学部, 助手 (30272660)
尾崎 洋二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30011547)
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Keywords | 太陽:内部構造 / 恒星:内部構造 / 日震学 / 太陽振動 / 逆問題 |
Research Abstract |
日震学は太陽で観測されている振動現象を用いて太陽内部の構造に関する情報を引き出そうというものである。本年度の研究の第一の目的は、最新の太陽振動の観測結果に基づいて太陽内部の音速分布を精度良く決定し、それを拘束条件として、太陽の内部構造モデルを構築する事である。 星の構造の方程式を解く際に、音速分布を拘束条件として、太陽中心で光度及び質量がゼロ、太陽半径で太陽光度、太陽質量になるという境界条件を課すことにより、核反応に関係しない重元素の分布と組成比を仮定しさえすれば、解が一意に決定される。重元素の分布は一様であるとし、組成比は光球面で観測されているものと同じであるとする。このモデルの特筆すべき点は、水素とヘリウムの分布と組成比が、仮定ではなく、構造を解いた答として決定されるということである。この結果、太陽の進化の歴史に関する仮定を置く事なく、太陽内部構造モデルを構築する事に成功した。 この方法によってモデルを構築するには、音速分布を高精度で決定する事が必要であったが、本研究では、漸近法を効果的に使ってこれに成功した。これまで、漸近法による音速分布の決定は、精度の点で、変分法に基づく方法に劣るとされていたが、本研究の成果は、それが事実でない事を示している。本研究では、誤差の評価を注意深く行い、太陽中心からの距離が30%以内の領域では約1%、30%から90%の領域では約0.2%の精度で音速分布を決定した。 この結果、日震学に基づく太陽モデルによって太陽内部の水素及びヘリウムの組成分布を決定出来、中心部では、水素が大きく減少している事がわかった。これは、大陽の進化の過程で実際に原子核反応が起こっていることの証拠とみなすことができる。さらに対流層の直下で水素が僅かに減少する傾向が見られる。これは拡散の痕跡と解釈できる。
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[Publications] H.Shibahashi: "A Seismic Solar Model Deduced from the Sound Speed Distribution and an Estimate of the Neutrino Fluxes" Publ.Astron.Soc.Japan. 48. 377-387 (1996)
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[Publications] H.Shibahashi: "An Estimate of the Solar Neutrino Fluxes Based on the Helinseismic Data" Bull.Astron.Soc.India. 24. 301-304 (1996)
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[Publications] D.O.Gough: "The Seismic Structure of the Sun" Science. 272. 1296-1300 (1996)
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[Publications] H.Shibahashi: "Making a Seismic Solar Model and an Estimate of the Nautrino Fluxes" Proc.IAU Symp.181,Sounding Solare and Stellar Interiors. (印刷中).
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[Publications] H.Shibahashi: "Implication of Long-ferm Frequency Variation of Low and Intermediate Degree Modes" Proc.IAU Symp.181,Sounding Solar and Stellar Interiors. (印刷中).
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[Publications] J.Harvey: "Studies of Soler Oscillation Background Spectra" Proc.IAU Symp.181,Sounding Solar and Stellar Interiors. (印刷中).
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[Publications] E.Anderson: "The Seismic Structure of the Sun from GONG" Proc.IAU Symp.181,Sounding Solar and Stellar Interiors. (印刷中).