1996 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起脱離による表面・分子相互作用の動的特異性の解明
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08454076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
村田 好忠 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10080467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉安 信雄 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60017415)
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Keywords | レーザー誘起脱離 / エキシマーレーザー / 共鳴多光子イオン化スペクトル / 速度依存性 / 電子励起状態 / 寿命 / 非断熱ポテンシャル / 脱離過程 |
Research Abstract |
東京大学物性研究所から当該研究に関連した研究に使用してきた装置は概ね電通大に移管し、まず立ち挙げてきた。移設に伴うトラブルがいろいろ発生したが、現在ではそれらを含め、移設した装置の全てが順調に稼働している。一方、小型のエキシマーレーザーも納入され、予想通り本研究目的には十分であることが判明した。 Pt(111)からのNOの脱離を、ArFエキシマーレーザーを励起源として、脱離分子の速度領域を狭い範囲に限って、共鳴多光子イオン化(REMPI)スペクトルの速度依存性を観測した。この結果をインパルスモデルで解析した結果脱離にいたる中間の電子励起状態の寿命に速度依存性があることが判明した。その結果Ptの表面上に吸着したNOのように、基板と吸着子が強い相互作用を持つ系で、基板が金属の場合、中間の励起状態は断熱ポテンシャルでは記述できないことを明確に示すことができた。これは当然の結果を得たにすぎないと言えるかもしれないが、これまでのこの分野の研究では、中間の励起状態は断熱ポテンシャルによる反発ポテンシャルのMGRモデルと、負イオン生成のAntoniewiczモデルがもっぱら議論に用いられてきた。今回得た結果はたとえ断熱ポテンシャルを認めたとしても、上記の二つのモデルでは結果を説明できない。このように中間の励起状態の寿命とポテンシャル曲線について、脱離過程を考える上で重要な知見が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 村田好正他: "Behavior of Atomic Hydrogen on Au(001)" Surface Science. 357/358. 663-666 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "Repulsive Interaction of CO^+ and a Pt Surface Derived from Very-Low-Energy Ion Scattering" Surface Science. 363. 112-120 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "Adsorption and Desorption of NO and CO on a Pt(111)-Ge Surface Alloy" Surface Science. 363. 185-194 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "STM Study of Laser-Induced Desorption from Si(111)Surfaces with Adsorbates" Surface Science. 363. 268-273 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "Interaction of Ultraviolet Photons with NO/Ni(111)" Surface Science. 363. 281-288 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "Laser-Induced Desorption from Si(111) Surfaces with Adsorbed Chlorine Atoms" Journal of Physics : Condensed Matter. 8. 6543-6551 (1996)
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[Publications] 村田好正他: "Selectivity on Laser-Induced Desorption of NO and Co from Transition Metal Surfaces" Zeitschrift Fur Physikalische Chemie. 198S. 149-156 (1997)
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[Publications] 村田好正他: "Scattering of Low-Energy (10-350eV) Light Ions from Al(111) : Neatralization and Dissociation" Journal of Physics : Condensed Matter. 9. 1919-1930 (1997)