1996 Fiscal Year Annual Research Report
アナターゼ単結晶育成と電気的光学的性質に対する結晶多形及び酸素欠陥の影響
Project/Area Number |
08454080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
栗田 進 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)
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Keywords | 二酸化チタン / アナターゼ / 単結晶育成 / 光学的性質 / 電気伝導 / 励起子 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物は結晶構造、酸素欠陥量及び金属イオンのd電子数がその物性に大きな影響を与え、それ故に多様な物性を示すことで知られている。本研究はこれらの酸化物の中でも光触媒作用で注目されている二酸化チタン(TiO_2)について結晶多形及び酸素欠陥が電子状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 塩化アンモニウムをtransport agentとした気相反応法によりこれまで育成が困難とされてきたアナターゼ型TiO_2単結晶を育成した。種々の条件下で育成を試みた結果、現在2^*2^*4mm^3の単結晶を得ている。単結晶中の酸素欠陥量の制御は酸素圧0〜2MPaのもとで100〜800℃の範囲で熱処理することにより行った。得られた単結晶を用いて以下の実験を行った。 1.広いエネルギー領域(2〜25eV)にわたって偏光反射スペクトルを測定した。一方、クラスターモデルを用いた理論計算を行い、計算結果とスペクトルの対応からアナターゼの電子状態を決定した。 2.吸収端のスペクトルの温度依存性、酸素処理時間依存性をCCD検出システムを用いて詳細に測定した。その結果、吸収端はア-バック則に従うこと、励起子は自己束縛型であることがわかった。 3.as-grown結晶で観測された自由キャリア吸収と酸素欠陥量の変化に伴ってバンドギャップ中に出現した偏光依存性のある吸収帯は、2MPaの酸素圧下で800℃、60時間の熱処理で完全に消滅する。この熱処理後は、完全絶縁体となることがわかり、ほぼ完全結晶とみなせることがわかった。なお、自由キャリアは7meVのドナー準位から放出されるものであることが電気伝導度の温度変化から明らかになった。
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[Publications] N.Hosaka et al.: "UV reflection spectra of Anatase TiO_2." J.Elect.Spectrosc.Relat.Phenom.78. 75-78 (1996)
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[Publications] N.Hosaka et al.: "Optical properties of single crystal anatase TiO_2." J.Phys.Soc.Jpn.66(印刷中). (1997)
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[Publications] N.Hosaka et al.: "Excitonic state in anatase TiO_2 single crystal." J.Lumin.(印刷中).