1996 Fiscal Year Annual Research Report
液晶の電気対流現象におけるパターン形成と場の対称性
Project/Area Number |
08454107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州大学, 工学部, 教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 芳樹 九州大学, 工学部, 助手 (70274511)
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Keywords | ホメオトロピック / 電気流体力学的不安定性 / 対流 / 時空カオス / ソフトモード乱流 / ゴールドストーンモード / 間欠カオス / 欠陥カオス |
Research Abstract |
液晶薄膜に電界を印加すると対流が発生するが、これを電気対流現象という。この現象は非平衡散逸パターンの研究対象として電界によってコントロールされるために高速、均一、高精度で実験が行える利点がある。これとともに、液晶の大きな利点は初期の対称性をコントロールできることである。過去、精力的に研究が行われていた系は、プレーナー配向と呼ばれる初期に連続的な回転対称性の破れた対流系であった。この系では対流発生点で超臨界分岐を経て周期空間パターンが形成され、電界の印加とともに欠陥カオス、3次元格子流、振動流、乱流へと発達していく様子が得られ、既に熱対流現象と良い類似性を示すことが報告されている。これに対して、本研究で使用されたホメオトロピック配向では、初期に連続的な回転対称性が存在し、電界の印加によってフレデリック転移と呼ばれる配向座屈不安定が生じて連続回転対称性が破れる。この際に、回転対称性に伴うゴールドストーンモードが常時中立安定となる。電界をさらに増加させると電気対流現象が起こるが、これによって並進対称性が破れ、短波長の対流モードが生まれる。この不安定によって、新らたに並進対称性に伴うゴールドストーンモードが中立安定となり、この二つのゴールドストーンモードの発生が対流現象を劇的に変化させ、本来高次の不安定によって生まれる時空カオスが超臨界分岐によって最初の対流不安定に伴って発生するのが観測される。この時空カオスは従来のカオスと異なり、欠陥のような間欠的特異性の運動によるカオス(間欠カオス)ではなく、ゆっくりとした巨視的な不規則変形の運動によるカオスである。その相関時間は対流発生点(ε=0)で無限大となり、εの逆数に正比例して減少することが観測された。この様相から、我々はこの新しいカオスをソフトモード乱流と名付けた。今後、この乱流の統計的な性質などその詳細を研究していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Kai: "Universal Defect Dynamics in Two Dimensional Convective Roll Patterns" J.Physical Society of Japan. 65-11. 3419-3422 (1996)
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[Publications] S.Kai: "Pattern Forming Instability in Homeotropically Aligned Liquid Crystals" J.Phys.Chem.100-49. 19007-19016 (1966)
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[Publications] 甲斐昌一: "液晶におけるパターン形成" 日本物理学会誌. 51-9. 645-653 (1966)
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[Publications] 日高芳樹: "ネマチック液晶の対流に見られるソフトモード乱流" 日本流体力学会誌「ながれ」. 15-3. 163-164 (1966)
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[Publications] 日高芳樹: "ホメオトロピック配向したネマチック液晶の電気流体力学的不安定性" 九州大学工学集報. 69-4. 411-415 (1966)