1996 Fiscal Year Annual Research Report
10eV領域での多価イオンの関与する電荷移行反応の微分断面積測定
Project/Area Number |
08454115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
伊藤 陽 城西大学, 理学部, 助教授 (10159923)
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Keywords | 低エネルギー衝突 / 多価イオン / 電荷移行反応 / 微分断面積 |
Research Abstract |
今年度は,実験装置の基本的な性能向上に向け以下の改良を行った.次年度はこれらを更に充実・機能させ,本格的な測定に取り組む. (1)標的となる調音速ノズルビームの強化.多量の試料気体を排気しなければならないノズル室の排気をターボ分子ポンプで行い,衝突室を通過した後の標的ビームを差動排気したビーム捕捉室へと導くようにした.この結果,従来よりも2倍程度強い試料ビームを用いても衝突室の圧力上昇を1/4程度に抑えることができた.これにより,S/N比を向上させることができた. (2)新検出器の製作.信号の検出効率を向上させるために,一次元の位置敏感型検出器を作成した.これはマイクロチャンネルプレートと抵抗性陰極から構成されている.電荷移行反応で生成されたイオンの角度分布を測定する目的で設計した.検出器の設計にあたっては,イオン軌道計算プログラム(CPO-3D)を用いて最適化を行った.-10〜+15度の測定角度範囲を分解能0.1度程度で測定できるものとした.現在その性能試験を行っているが,検出器そのものからの雑音が多く発生することが判明したためその原因を追求している. (3)測定系の整備.装置の制御及び位置敏感型検出器からの信号を収集・処理・蓄積するための準備を行った.検出器からの多量のデータを効率良く収集するために,データ収集を主とする計算機と,データ処理・蓄積を行う計算機とを分離するシステムとした.その結果,およそ50kHzの信号を収集し,これを主計算機へ2Mbpsで転送することができることがわかった.
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