1997 Fiscal Year Annual Research Report
10eV領域での多価イオンの関与する電荷移行反応の微分断面積測定
Project/Area Number |
08454115
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
伊藤 陽 城西大学, 理学部, 助教授 (10159923)
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Keywords | 低エネルギー衝突 / 多価イオン / 電荷移行反応 / 微分断面積 / ノズルビーム / FIFO |
Research Abstract |
(1)超音波ノズルビーム標的生成条件の再検討を行った.衝突領域を通過した標的ビームを差動排気室に導き,衝突槽の真空度をできる限り保ちながら測定を行うべく,ノズルに導入する試料気体の圧力を変化させて生成条件を求めた.試料圧力が0.2〜0.7atm程度までは衝突槽の緩やかな背圧上昇を示したが,それ以上0.8〜1.5atmでは急激な上昇を示した.これは,ノズル・スキマ-の幾何学的な配置で決まる形状以上にビームが広がり,これを差動排気室に導く輸送経路内での反射によるものと思われる.このことから,より良好な生成条件を求めるためには,スキマ-などの形状改善と共にビーム形状そのものの圧力依存性の測定が必要であることがわかった. (2)マイクロチャンネルプレートと抵抗性陰極から構成されている位置敏感型一次元検出器の性能測定を行った.検出器を衝突槽内の回転台に乗せ,極微弱一次イオンビームを検出することから,イオン到達位置と位置演算信号の直線性を確認した.設計測定領域は-6.5〜+19度である.可動範囲内-6.5〜+4度では検出器端を除いて良好な直線性を示すことがわかった.端での歪みは,抵抗性陰極内での電子の有限の拡散速度によるものである. (3)First In First Outメモリー素子を用いて測定系の改良を行い,10kcps程度の計数率ではデータ収集系の不感時間をA/D変換によるもの以外を実質的に0とすることが出来た. (4)電磁弁を用いて標的ビームの機械的なON/OFFを行い,これによる信号の差を取り,電荷移行反応の測定を試みたが,依然S/N比は十分には向上できていないことがわかった.これは,角度分布のみが測定できる単純な検出器を用いているために信号と雑音の弁別が十分に行えていないと考えられ,これを改善するために新たなエネルギー分析器を製作した.
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