1996 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮親潮混合域における暖水・冷水渦の時空間構造と稚仔魚の輸送生残に関する研究
Project/Area Number |
08454129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 隆成 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40004428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 伸吾 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90202043)
岸 道郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90214767)
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Keywords | 黒潮 / 黒潮続流 / 暖水塊 / 暖水ストリーマ / 稚仔魚輸送 / 前線波動 / 海水の混合 |
Research Abstract |
本年度は、気象庁発行の海洋旬報と漁業情報サービスセンター発行の5日毎(1994年よリ7日毎)の漁海況速報の表面水温分布と、函館海洋気象台発行の144゚E線における四季の南北断面観測に関する海洋速報を用いた、既往の観測資料の統計的解析と、数値シュミレーションによる解析を中心にして研究を進めた。その結果、これまでに以下のことが明らかになった。 (1)黒潮続流の北縁前線から北側の混合水域に侵入する黒潮系暖水の張り出しの動態を指標する等温線を決めることが表面水温マップを用いて必要な精度で可能であることがわかった。 (2)黒潮続流の準定常蛇行流路の第1の峰(144゚E付近)から北に張り出した厚さ50〜100mの黒潮系暖水の北縁の緯度変化には、20〜30日と50日前後に卓越周期があり、この周期は本州南方の黒潮前線および沿岸域における水温や流速、潮位変動の周期とほぼ一致する。 (3)黒潮続流の準定常蛇行流路の第2の峰(150゚E付近)からは、年1〜3回程度の頻度で、比較的大規模な暖水が、北西に切離され、三陸・常磐沖の暖水塊や釧路沖の暖水塊に暖水を補給したり、それ自体で小暖水塊を形成することがわかった。 (4)栄養塩類と植物プランクトンの生産を入れた暖水塊の数値シュミレーションモデル実験からは、越冬して密度が重くなった暖水塊に、新しくやや密度の小さな新しい暖水が比較的大規模に補給される場合、暖水塊の周辺部に湧昇を伴う低気圧性擾乱が発生し、暖水塊周辺部での基礎生産の促進に寄与することが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)