1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥居 雅之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60108983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 尚人 京都大学, 大学院・総合人間学部, 助手 (30202964)
サイモン R.ウォリス 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30263065)
古川 善紹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80222272)
山路 敦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40212287)
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Keywords | 断層ガウジ / 初磁化率異方性 / 猿打山北断層 |
Research Abstract |
この研究の目的は,断層ガウジの磁気的性質から,その断層の起こした変位や働いた応力方向を推定することである.特に通常の地質学的方法では,断層面を露出させて詳細な調査を行うことが困難な,新しい時代の地層やボーリングコアなどに将来は適応させるための基礎的な研究と位置付けている.平成8年度末にSpinner KappaBridge KLY-3Sを購入できたので,それ以降KLY-3Sの性能を見極めるためのさまざまテストと各種パラメータの意味を厳密に解釈することと,いくつかの典型的断層ガウジ試料の測定を続けている. 愛知県瀬戸市の猿投山北断層の東白坂トレンチで200個の試料を得ることができたので,断層面からの距離,岩相の違いなどに注意しながら,KLY-3Sによる初磁化率異方性以外にも様々な岩石磁気学的なパラメータの測定をおこなった.この断層は砂礫層を主体とするため,残留磁化からは断層と関係がありそうなパラメータは得られなかった.初磁化率異方性はKmaxは地層面内に,Kminは地層面に垂直であり,それぞれ変形を忠実に表現していると考えられた(H9年秋,地球電磁気・地球惑星圏学会で発表). さらに変形の強い断層ガウジ試料を得るため,三重県鈴鹿山地山麓の加太層の断層露頭から試料を多数採取した.この試料についての実験は目下進行中であるが,予察的な結果としては,ガウジに浸透する水などによる化学変化の影響が大きく,期待するような情報が得られない可能性がある. 変位の方向についての確実な情報があり,あまり風化しておらず,さらにできればシルトサイズの断層ガウジを見つけるのが予想していたより困難で,典型的なデータをまだそろえることができていない.しかし,試料の採取方法,測定のノウハウ,最も効率的な解析の方法などの基礎的な情報は十分に得ることができたので,引き続き様々の試料について適応していく計画である.
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