1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454142
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鎌田 桂子 神戸大学, 理学部, 助教授 (20192544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 高明 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50145827)
井口 博夫 神戸大学, 内海域機能教育研究センター, 助教授 (40112073)
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Keywords | 残留磁化測定 / 熱残留磁化 / 入戸火砕流堆積物 / 阿多火砕流堆積物 / 大規模火砕流堆積物 / フィッション・トラック法 / トラック年代 / アニーリング温度 |
Research Abstract |
火砕流の冷却過程や堆積温度を火砕流堆積物の熱残留磁化測定やフィッション・トラック法のトラック年代とトラック長計測に基づいて求めることを目的とし、阿多火砕流堆積物の熱履歴を、熱残留磁化測定に基づき復元し、堆積物の特性と堆積温度との関係を求めた。また入戸火砕流堆積物についてフィッショントラック法のトラック年代とトラック長計測から鉱物ごとのアニーリング温度をもとめて再加熱に関する詳細な測定を行った。 大規模火砕流堆積物に認められる溶結構造は、厚い堆積物の自重によって溶結するタイプと堆積時に高温を有していたために基底部からすぐに溶結が始まるタイプとが存在する。南九州の入戸火砕流堆積物は前者のタイプの溶結構造を有し、溶結部では500℃以上、非溶結部では400℃と、異なる堆積温度を示すことが平成8年度の調査研究により求められた。今回、入戸火砕流のカルデラ近傍に堆積したラグブレッチャー中に含まれる花崗岩礫はトラック長計測から求めたアニーリング温度より150〜500℃で加熱されたことが明らかになった。一方、基底部からすぐに溶結が始まる阿多火砕流堆積物は高温での堆積が予測されていたが、熱残留磁化測定に基づいて求めた溶結部の堆積温度は560〜600℃以上であり、溶結度の高い火砕流ほど、堆積温度も高いことが推定された。しかし、阿多火砕流堆積物の残留磁化は入戸火砕流堆積物の残留磁化と比べて不安定で、磁化方位が1成分の揃うものばかりでないということから、磁化の獲得が堆積後の溶結作用にのみ依存するのではなく、磁化の獲得に火砕流の流動様式の違いが反映されることが示唆された。 以上のように、熱残留磁化測定とトラック長計測を組み合わせた火砕流堆積物の堆積温度測定は相補的であり、有効な手段といえる。今後、更に測定例を増し、流動層内部の構造や温度の不均質性について詳しい検討が必要である。
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Research Products
(1 results)