1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 工 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (90214379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 政紀 筑波大学, 地球科学系, 助手 (50272141)
末野 重穂 筑波大学, 地球科学系, 教授 (30110513)
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Keywords | 高温高圧実験 / 岩石物性 / 地球化学 |
Research Abstract |
地球内部に存在すると考えらる化学的不均一性は,マントル対流による物理的混合と元素拡散によって失われる運命にある。高温高圧下での元素拡散の実験的研究の第一歩として,下部マントル鉱物,Mg-ペロブスカイトとマグネシオウスタイトのMg-Feの拡散実験を行った。グラファイト製試料カプセル中に,約500μmの立方体に切り出したClinenstatite焼結多結晶とそれを取り囲むように粉末のFeOを封入した。実験圧力は約25GPaである。1800℃,1550℃で1000秒間加熱した試料のBEI組成像から,両試料とも,中心部はペロブスカイトの単相,最外縁部はマグネシオウスタイトの単相で,間に期待された鉱物組み合わせが観察された。EPMAによる分析から次の結果が得られた。(1)両試料ともSiの分布については,出発試料の状態から変化が検出できない。(2)1800℃において,Mg-ペロブスカイトのFe^♯(=Fe/(Mg+Fe))は,0.00-0.15の範囲で約50μmに渡って変化し,マグネシオウスタイトのFe^♯は,0.72-0.80の範囲で約250μmに渡って変化している。(3)1550℃において,Mg-ペロブスカイトのFe^♯(=Fe/(Mg+Fe))は,0.00-0.11の範囲で約5μmに渡って変化し,マグネシオウスタイトのFe^♯は,0.85-1.00の範囲で約15μmに渡って変化している。本実験条件でのMg-ペロブスカイトの拡散は,格子拡散と粒界拡散の二つの過程から生じていると考えられる。拡散プロファイルから,格子拡散係数と粒界拡散系数を見積もった。Siの拡散は極めて遅く,本実験では上限を与えたに過ぎない(約10-^<17>m^2/sec)。ペロブスカイトの格子拡散係数は,オリビンおよびその高圧相に対するデータの延長線上にあり,圧力効果を考慮すると,比較的大きな拡散係数を持つ。また,マグネシオウスタイト中の拡散は,ペロブスカイトに比較して圧倒的に速い。深部マントルにおいてSiO_2に乏しくマグネシオウスタイトに富む領域で,拡散による均一化が促進される可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kato et al.: "Element partitioning between silicate perovakites and calcic ultrabasic melt" Physics of the Earth and Planetary Interiors. 96. 201-207 (1996)
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[Publications] D.Yamazaki,andT.Kato: "Grain Growth rates of MgSiOX_3 Perovskite and periclase under lower mantle conditions" Science. 274. 2052-2054 (1996)