Research Abstract |
本研究課題の研究の一環として,CaMgSi_2O_6(Di)-CaTiAl_2O_6(Tp)系、Di-CaFe^<2+>Si_2O_6(Hd)-Tp系の単斜輝石の4配位席におけるTiの席選択性と構造変化を検討した.Di-Tp系については,Di_<97.5>Tp_<2.5>,Di_<95>Tp_5,Di_<90>Tp^<10>,Di_<88>Tp_<12>,Di_<85>Tp_<15>(Wt.%)の酸化物の混合物をガラス化し,900-1100℃で結晶化した試料を用いた.輝石の他に2-9%のパラ珪灰石が生成した。x線粉末回折はCu Ka線(35kV,25mA)を用いてステップスキャン法で,リートヴェルト解析はRIETAN97βによって行った.リートヴェルト解析にあたっては,Ca,Mg,SiをそれぞれM2,M1,T席に固定し,TiとAlの席選択性を求めた.パラ珪灰石の構造解析も同時に行った。Di_<97.5>,Tp_<2.5>輝石ではTiは6配位席を占めるが,輝石中のTp成分が増加するとtotal Tiの40%前後のTiが4配位席を占めていることがわかった.平均T-O原子間距離は,Di_<97.5>TP_<2.5>輝石の1.640ÅからDi_<85>Tp_<15>輝石の1.653Åまで,Tp成分の増加に伴って増加する.Di-Hd-Tp系輝石の試料は,Di_<70>Hd_<20>Tp_<10>およびDi_<45>Hd_<45>Tp_<10>(Wt.%)の酸化物から,1気圧,1150-1200℃,Iron-Wustite bufferのfO_2条件で合成した.メスバウアー分光分析の結果,FeはすべてMl席のFe^<2+>であった.Ca,Mg,Fe^<2+>,SiをそれぞれM2,M1,M1,T席に固定し,TiとAlの席選択性を求めた結果,輝石の構造式は,Di_<70>Hd_<20>Tp_<10>(wt.%)輝石: Ca_<1.000>(Mg_<0.725>Fe^<2+>_<0.181>Ti_<0.031>Al_<0.063>)(Si_<1.811> Ti_<0.063>Al_<0.126>)Di_<45>Hd_<45>Tp_<10>(wt.%)輝石:Ca_<1.000>(Mg_<0.482>Fe^<2+>_<0.421>Ti_<0.005>Al_<0.093>)(Si_<1.805>Ti_<0.102>Al_<0.093>)となり,Tiは4配位席を優先的に占有している.T-O distanceは,両者とも(T-O)_<nbr>=1.618-1.620、(T-O)_<brg>=1.679-1.680Åでほぼ一定であり、6配位席のFe^<2+>の量と4配位席中のTi席選択性とは相関がないことがわかった.
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