1996 Fiscal Year Annual Research Report
海洋有機物の堆積過程にともなう化学組成および軽元素同位体組成の続成変化の研究
Project/Area Number |
08454161
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 雅史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50261350)
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
|
Keywords | 海底堆積物 / 海洋有機物 / 窒素同位体 / 炭素同位体 / 酸素同位体 / 年代測定 / 有孔虫 / 炭酸カルシウム |
Research Abstract |
本年度は北海道の日高沖(水深900m)1点と十勝東方(水深2000m)、東シナ海の沖縄トラフ(水深500m-1000m)で新たに柱状地積物を採取した.またすでに採取済みの東シナ海、および噴火湾近辺でのグラビティコア試料の分析を実施した.続成過程での有機物分解、同位体組成の変動を知るための基礎データーとして、有孔虫殻の放射性炭素年代、堆積速度、有機態炭素含量、外来有機物含量等のを調べ、一部の結果を得た.噴火湾近辺でのリグニンの濃度はΛ値で1.3mg/100mgTOCであり、東シナ海の外海での値0.3にくらべ5倍程度高いことがわかった.東シナ海では現世の堆積速度は6cm/ky,氷期では14-11cm/kyで、有機物の堆積フラックスが20から40mgC/cm2/ky、氷期で100mgC/cm2/kyであることがわかった.他方フィッリピン海北部の琉球海弧近辺では堆積速度は約5cm/kyと9cm/kyで、有機態炭素フラックスは10から20mgC/cm2/ky、氷期で約40から70mgC/cm2/kyと低いことがわかった.これらの海域でのδ^<13>・δ^<15>Nはそれぞれ-20.5‰と5.7‰、-20.4、6.2‰で、いずれの海域でも完新世、最終氷期の間で大きな変化が見られない.しかし、植物プランクトン起源の色素は現世に比べて最終氷期には3から5倍大きな生産があったことがわかった.これらの結果の内で続成過程による変化がどれくらいあるかは、現在実施中の他の海域の分析結果を見て考察する予定である.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 奥村智、南川雅男、大場忠道、池原研: "日本海秋田沖の2本の海底コアの酸素・炭素・窒素同位体比に基づく古環境解析" 第四紀研究. 35. 349-358 (1996)
-
[Publications] Wahyudy & Minagawa: "Response of Benthic Foraminifera to organic carbon accumulation rates in the Okinawa Trough" Journal of Oceanography. (印刷中). (1997)
-
[Publications] 南川雅男、川西伸明、高村章: "海洋粒状有機物の炭素窒素同位体組成の変動" 月刊「海洋」. 28. 712-716 (1996)