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1997 Fiscal Year Annual Research Report

海洋有機物の堆積課程にともなう化学組成および軽元素同位体組成の続成変化の研究

Research Project

Project/Area Number 08454161
Research InstitutionHOKKAIDO UNIVERSITY

Principal Investigator

南川 雅男  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 村山 雅史  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50261350)
大場 忠道  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
Keywords海洋有機物 / 陸上有機物 / 炭素同位体 / 窒素同位体 / リグニン / 海底堆積物 / 懸濁粒子 / 続成過程
Research Abstract

本研究では、海水の炭酸ガス分圧や生物活動の指標として近年頻繁に用いられるようになった炭素・窒素の安定同位体組成が、海水中で生成してから堆積物に埋蔵される間に生じる続成過程で、どのように変化するか、またその原因について様々な角度から検討を行った.実験は、東シナ海、日本海、西部北太平洋の日高舟状海盆等で海底コアや海水懸濁粒子を採取し、全有機物の炭素・窒素同位体組成、リグニン・フェノール、炭化水素などの分析を行い検討した.生物によって生成した有機物は、基礎生産時の同位体効果により種々の同位体組成を示す.表層海水中での早い分解で溶解してしまったあとの残滓(デトリタス)を懸濁粒子として採取し分析した.約1000mの沈降過程で炭素は-20から-28‰まで軽くなるが、窒素同位体比は4から10%まで逆に重くなることが解った.しかし沈降粒子として捕集されるトラップ粒子はこの傾向とは関係しないことから、粒状有機物の分解には上層で集結する早い分解と、深層まで持続するゆっくりとした分解があり、後者で消失する有機物は軽い窒素と重い炭素を多く含む有機成分であること、さらに沈降粒子には表層の粒状物の同位体比が反映されることが解った.また表層堆積物中に残存する有機物は、主として沈降粒子が堆積後初期続成過程により炭素窒素とも重くなった結果を示すことから、海水中での変化とは異なった続成作用があること明らかになった.一方、実際の堆積物で重要な同位体比変化要因である陸上高等植物起源の難分解性有機物の寄与については、陸の影響の強い沿岸から外洋までの表層堆積物について、リグニン・フェノールと全有機物の同位体組成とをあわせて評価した.その結果北海道の苫小牧沿岸から日本海溝にかけては、徐々に陸生有機物の影響が減少する傾向が認められたが、有機物全体としては海洋生物起源の同位体比を示すという結果が得られた.リグニン成分については従来から用いられている有機態炭素との比での評価法には、生物生産量の違いが重要であり、炭素同位体との関係も、一定の関係をもつとしたHedges eta al(1989)の結果を再考するべき証拠を得た.^<18>O分析とあわせてリグニンの負荷と有機態炭素の同位体比の年代学的変動を調べたところ、日高沖、東シナ海では陸上成分の増減があっても、有機物の全体像は堆積後ほとんど変化しないという傾向を得た.これらの結果から、海洋有機物は水柱での沈降過程や、海底面のごく表層でおこる有機物の分解再生などの反応で、同位体比を一定方向にシフトさせるが、その後の変化は大きくなく、隆起源有機物と海洋有機物の残存効率に大きな違いはないとの結論を得た.

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 南川雅男: "安定同位体による水圏生態系構造の解明" 水環境学会誌. 20(5). 296-300 (1997)

  • [Publications] 南川雅男: "安定同位体による海洋食物網研究" 月刊海洋. 29(7). 391-398 (1997)

URL: 

Published: 1999-03-15   Modified: 2016-04-21  

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