1997 Fiscal Year Annual Research Report
コンドライト隕石の母天体進化に関する宇宙化学的研究
Project/Area Number |
08454167
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
海老原 充 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (10152000)
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Keywords | コンドライト隕石 / 非平衡コンドライト隕石 / 平衡コンドライト隕石 / 希土類元素 / ウラン / トリウム / ICP質量分析法 |
Research Abstract |
コンドライト隕石はその熱的履歴から非平衡コンドライト隕石(以下UOCと略記)と平衡コンドライト隕石(以下EOCと略記)に分類される。昨年の研究から、両者間で、例えばウランや希土類元素などのような難揮発性元素においてもその分布が変化していることを見いだした。明らかにこの変化は隕石母天体が経験した熱的エピソードを反映したものである。この結果を踏まえて、本年度はUOCとEOCの各グループ内でのこれら元素の分布を詳細に調べた。実験は、各隕石試料を粉末状にし、塩酸で金属鉄、橄欖石、鉄硫化物(トロイライト)等の可溶性鉱物を溶解させた。残渣として輝石、長石、微量酸化物(クロマイトやスピネル)を回収した。これらの残渣はフッ化水素酸によって分解し、溶液試料とした。酸可溶性分と酸不溶性分に関して、希土類元素、トリウム、ウランを定量した。これらの元素の定量にはICP質量分析法を用いた。その結果、UOCとEOCの両方で、これら元素の分布に大きな変化が生じていることがわかった。例えばUCOでは、希土類元素の大部分は酸不溶性成分中に存在するが、UOCの中でも特に熱的な変成を受けていない種類では、コンドルール中の希土類元素存在度パターンを反映するものが見いだされた。おそらく、この状態がコンドライト母天体を形成するもっとも初期の、物質的に未分化の状態を反映しているものと解釈できる。同じUOCでも熱的履歴がはっきりしているものでは希土類元素の移動(おそらく拡散によるもの)が起こり、その結果例えば酸残渣試料中の存在度パターンに変化が生じ、EOCに近づく。このように、希土類元素の分布、より具体的には酸残渣中の希土類元素存在度は個々のコンドライト隕石の熱的履歴を記述するのに有効であることがわかった。
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[Publications] P.KONG and M.EBIHARA: "The origin and nebular history of the metal phase of orduiary chondrites" Geochims Casmochim.Acta. 61. 2317-2329 (1997)
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[Publications] P.KONG,T.MORI and M.EBIHARA: "Compositional continuity of euitatite cleondeites and implieations for heterofenesus accretion of the emetatite clrondite pareut body" Geochims Casmochim.Acta. 61. 4895-4914 (1997)
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[Publications] M.EBIHARA,Y.IKEDA and M.PRINZ: "Petrology and chemistry of the Miles II:Clemical characteritiu of the Miles silicate inlusions" Antarct.Meteoite Res.10. 373-388 (1997)