1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小中 重弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50000849)
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Keywords | 分子構造 / 気体電子回折 / 液晶NMR / 構造決定 |
Research Abstract |
NMRデータ処理システムを設置して、液晶NMRに特有のうねりのあるベースラインを補正し、スペクトルを容易に読み取れるようにした。まず4-メチルピリジンについて、気体電子回折と液晶NMRにより分子構造を決定し、比較検討した。3種の液晶溶媒を用いてNMRで決定したプロトン間距離は、互いに誤差内で一致し、気相中の値とも一致した。次にN-メチルピロールのプロトン間距離を測定し、先に気体電子回折で決定した値と比較し、同様の結果を得た。さらに2,5-ジメチルフランについても、液晶NMRで水素の位置を決定し、現在、炭素の位置も決定するために炭素13のサテライト解析を進め、すでにメチル基の炭素位置を決定した。 気体電子回折により、メタクリル酸メチルとメチル3-クロロベンゾエ-トの分子構造を精密に決定して、分子構造総合討論会で発表した。コンホマ-の存在比を明らかにしたほか、後者ではその差が0.01†以下の二つのC-O結合距離を独立に決定することができ、得られた距離の差を種々のレベルの分子軌道計算の結果と比較検討した。次にギ酸t-ブチルの分子構造を決定した。関連分子であるギ酸メチルと比較すると、結合距離と結合角にはt-ブチル基の立体反発による著しい増加が見られたが、O-C (=O)単結合距離は逆に短くなった。これはt-ブチル基の電子放出性にともなう誘起効果(electron releasing inductive effect)により、この単結合距離が2重結合性を帯びるためと考えられる。分子構造におけるこの効果は研究代表者らが酢酸アルキルについて始めて見い出したもので、本研究の結果はこれが一般のアルキルエステルにも見られる現象であることを示唆するものである.
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