1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454180
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩崎 不二子 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10017329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 大輔 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00293126)
安井 正憲 電気通信大学, 機器分析センター, 助教授 (00201822)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / X線低温実験 / 電子密度分布 / 有機強磁性体 / 有機ラジカル結晶 / 遷移金属錯体 / 多極子展開法 |
Research Abstract |
本研究は、X線回折強度の低温精密測定によって、強磁性的相互作用を示す有機ラジカル結晶や有機金属錯体結晶の結合電子、非共有電子対などの電子密度分布を実験的に明らかにすることを目的として、平成8年度から3年間の行われた。本年度の研究成果は以下の通りである。1.TEMPOラジカル誘導体のうち、極低温で強磁性体に転移するPh-誘導体、p-Cl-Ph-誘導体についての電子密度分布の研究成果について、各種シンポジウムや学会において発表を行った。2.極低温で反強磁性的相互作用を示す、pyrimidineを架橋配位子とする硝酸胴錯体の電子密度分布の測定・多極子展開法による解析を行った。Cu近傍の電子密度分布の詳細な検討から、不対電子の関与するd軌道についての定性的な知見が得られた。3.極低温で強磁性的相互作用を示す、pyrimidineを架橋配位子とする胴錯体やコバルト錯体の電子密度分布の測定・多極子展開法による解析を行った。d電子の軌道についての明確な議論は今後まだ検討の余地が残された。解析における位相の取り扱いが問題であることが分かった。4.phenanthridine-N-oxyl誘導体の電子密度に関する精密測定をイメージングプレートを用いたワイセンベルグ型の装置で行い、電子密度分布の解析に十分な精度、感度および測定範囲を持つことを明らかにした。なお、この物質には、固相中でラジカル不対電子が失活して水素結合を作る分子が混合した状態の結晶が存在することを明らかにした。 以上の研究成果を通して、電子密度分布の面から磁性発現機構についての検討を行った。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] F.Iwasaki,et al.: "Crystal Structures of 4-(4-Halobenzylideneamino)-TEMPO Radicals Showing Magnetic Interactions" Mol.Cryst.Liq.Cryst.313. 223-228 (1998)
-
[Publications] F.Iwasaki,et al.: "TEMPO Radicals Showing Magnetic Interaction.I.4-(4-Halobenzylideneamino)-TEMPO and Related Compounds" Acta Crystallogr.SecB.B55(in press). (1999)
-
[Publications] F.Iwasaki,et al.: "TEMPO Radicals Showing Magnetic Interaction.II.4-(Benzylideneamino)-TEMPO and Related Compounds" Acta Crystallogr.SecB.B55(in press). (1999)
-
[Publications] M.Kako,et al.: "Photoinduced Electron-transfer Reaction of 7,8-Disilabicyclo[2.2.2]octa-2,5-diene" Tetrahedron Lett.40. 1135-1136 (1999)
-
[Publications] H.Ishii,et al.: "Stereoselective Tandem Cyclization of 1,1-Diphenyl-1,n-alkadienes via Photoinduced Electron Transfer Reaction" Tetrahedron Lett.39. 9501-9504 (1998)