1996 Fiscal Year Annual Research Report
光合成反応系の電子伝達メカニズムとダイナミックスに関する理論的研究
Project/Area Number |
08454182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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Keywords | 光合成反応中心 / SAC / SAC-CI法 / 電子励起状態 / 励起スペクトル / 蛋白と色素の相互作用 / スペシャルペア- / 電子移動 / ポルフィリン |
Research Abstract |
植物や光合成細菌の光合成反応中心では、種々のポルフィリン化合物により光化学反応系が構築されている。光合成細菌中では、スペシャルペア-(P)と呼ばれるbacteriochlorophyll b dimerの励起状態が、約17Å離れたL側のbacteriopheophytin b (BPh)をI電子還元することが知られている。PとBPhの間にはbacteriochlorophyll b (BChl)が存在するが、その電子移動反応において果たす役割は未だ明らかでない。また、反応中心の電子移動反応はL側の色素にそって選択的に進行することが知られている。今回、光合成反応中心の各色素の励起状態をSAC-CI法で計算し、反応中心の吸収スペクトルの解析を行うとともに、蛋白が色素の電子状態に及ぼす効果について調べた。 光合成反応中心の吸収スペクトルとSAC-CI法による理論スペクトルを比較すると、幾つかの吸収は蛋白の効果を除いた計算で再現することができるが、狭いエネルギー領域に複雑な構造をもつ反応中心の吸収スペクトルをすべて再現することはできない。この主な原因は、この計算が蛋白の効果を考慮していないことが挙げられる。そこで我々は反応中心の蛋白が色素の電子状態に与える影響について調べた。 光合成反応中心の蛋白によって生じる静電ポテンシャルについては、L、M側を比較すると、その形状や深さが異なる。BChlについて説明すると、L側では近接するチロシンの酸素原子の影響を受けるが、M側では対応する位置に無極性のフェニルアラニンがあり、チロシンに比べて静電相互作用が小さいからである。このような蛋白の効果はBChlの励起状態に影響を及ぼしQバンドの赤方シフトの原因となる。光合成反応中心の様に蛋白中の色素系においては、電子状態のenergeticsは蛋白を含めた分子の構造に強く影響を受けることを示している。 現在、光合成反応中心の他の色素についても蛋白を含めた励起状態の計算を行い、光合成反応中心の励起スペクトルの帰属を行い、各色素の電子状態が蛋白から受ける効果について解析している。また、得られた波動関数から状態間の遷移確率を計算し、電子移動経路についても解析を行う予定である。
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[Publications] H.Nakatsuji: "Excited and Ionized States of Free Base Porphin Studied by the Syummetry Adapted Cluster-Configuratioh Interaction (SAC-CI) Method" J.Chem.Phys.104. 2321-2329 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Oxyheme : SAC/SAC-CI Study" Chem.Phys.Lett.264. 379-386 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Mg Porphin Studied by the SAC/SAC-CI Method" Chem.Phys.Lett.250. 159-164 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "SAC-CI Study of the Excited States of Free Base Tetrazaporphin" Chem.Phys.Lett.250. 437-442 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Carboxyheme : a SAC/SAC-CI Study" Chem.Phys.Lett.250. 220-228 (1996)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Ground and Excited States of Hemoglobin CO and Horseradish Peroxidase CO : SAC/SAC-CI study" J.Phys.Chem.(in press). (1997)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Excited States of Free Base Phthalocyanine Studied by the SAC-CI method" J.Phys.Chem.(in press). (1997)