1997 Fiscal Year Annual Research Report
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08454199
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
樋口 弘行 富山大学, 理学部, 助教授 (00165094)
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Keywords | アヌレンジオン / ジアザアヌレン / ジオキシム / diatropicity / カップリング / 結合交替 / ジカチオン / 非極在化 |
Research Abstract |
本年度は、標題のジアザ[n]アヌレンの出発物質となるアヌレンジオンに関する研究の一環として比較対象分子となるモノアザ[n]アヌレンに関する研究を行った。[13]及び[15]アヌレンの接触水素化反応による生成物の解析を行い、モノアザアヌレンの出発物質であるアヌレノン類に内在する環歪の大きさや反応生成物の構造および誘起環電流について評価し、それらの芳香族性について検討した。特に、Pd-BaSO_4存在下5,10-ジメチル-6,8-ビスデヒドロ[13]アヌレノン1の接触水素化反応からは5,10-ジメチル[13]アヌレノン2を含む3種類の部分還元生成物が得られることを見い出した。HNMRスペクトルの解析により、内2種の生成物3および4は二重結合部の相対配置および幾何配置の一部がシス型に異性化した6-デヒドロ[13]アヌレノンの構造異性体同士であり、また、ジアセチレン結合がジエン結合に還元された5,10-ジメチル[13]アヌレノン2はトロポンよりも大きな員環数をもち、安定に単離できた単環性アヌレノンの最初の例として注目される。カルボニル基の分極に基づく常磁性誘起環電流効果は、アヌレノン1と同様、生成物3および4にも観察され、3および4が芳香族性を保持していることがわかった。一方、生成物2は非芳香族性分子であることが明らかになった。これらの生成物は、酸性溶液中で中性溶媒中での分子骨格とは異なる異性化反応を起こすことも見い出された。以上の結果は、ジアセチレン結合が消失し分子骨格の自由度が高まり、周辺共役系としての平面性が低下したことが原因と考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Higuchi,H.他: "Synthesis and Properties of Tris(octacthylporphyrin)s Connected with Vinylcne Groups" Bull.Chem.Soc.Jpn.70. 1923-1933 (1997)
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[Publications] Yamamoto,G.他: "Synthesis,structure and tropicity of an [11][13]fulvalene derivative" J.Chem.Soc.Perkin Trans.I. 3183-3188 (1997)
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[Publications] Higuchi,H.他: "Structures and Tropicity of Hydrogenation Products of a Bisdehydro[13]annulenone and a Bisdehydro[15]annulenone" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 221-230 (1998)
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[Publications] Higuchi,H.他: "Synthesis and Properties of Unsymmetrically Substituted Bi-and Quaterthiophenes" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 483-495 (1998)