1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 雅司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵田 浩之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40263199)
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Keywords | 拡張パイ電子系 / 機能性 / 拡張トリメチレンメタン / 共役系オリゴマー / トリアリールボラン誘導体 / ソルバトクロミズム / 有機ヘキサカチオン |
Research Abstract |
上記の研究課題について今年度以下のような結果が得られている。 (1)昨年度までに得ている結果ならびに理論計算から、ベンゼン環で拡張されたトリメチレンメタンのジアニオン(1)は物性、機能の観点から大変興味ある化合物と予想されたのでまずその合成を検討した。その結果、ジシアノ(4-プロモフェニル)メタンから生成するジリチオ体(2)がジアニオン1のみならジシアノパラキノジメタンや関連化合物の合成に大変有用であることを見いだした。ジアニオン(1)も2とクロロ酢酸エチルとの反応により82%の高収率で得ることができた。ジアニオン(1)は安定な水溶性の濃青色化合物で、スペクトル結果から強い4極性の性質を示す。また、その電気化学的挙動からジラジカルならびにトリアニオンラジカルの容易な生成が期待される。ジリチオ体(2)を用いると種々の興味ある化合物の合成が可能で、1ならびにそれらの化合物の化学の発展は次年度の大きな課題である。また、1以外にも幾つかの拡張トリメチレンメタン類の合成も検討し、末端にジベンゾヘプタトリエニルカチオンを有する化合物の合成も達成し、現在その性質等の検討している。 (2)申請者らは既に鎖状および環状のオリゴチエニルペンタフルベン類の合成に成功し、興味ある結果について発表してきている。今年度は他のメンバーに相当する、ヘプタフルベン、キノメチドならびにクムレン結合をユニットとするオリゴマー類の合成を検討し、それぞれ4量体までの合成に成功して、基本的物性を明らかにすることができた。 (3)ジアリールボリル基はホウ素原子の特徴から電子吸引性基としての性質を持つので、この基を置換基としてパラ位に有するフェノールやフェニルマロンニトリルのアニオン類は環境の変化によりソルバトクロミズムを示すと期待される。立体保護により安定化されたこれらのトリアリールボラン類を初めて合成し、顕著とは言えないが明確なソルバトクロミズムを観測した。適当な分子設計により機能の観点からも優れた分子の開発も可能と期待し、研究を次年度さらに継続する。 (4)これらのほか6置換ベンゼンを骨格とする、初めての2種のヘキサカチオンの生成にも成功しており、今後一層詳しく研究する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Kawase,N.Ueda,H.R.Darabi,M.Oda: "(2.2.2.2) Metacyclophane-1,9,17,25-tetrayne" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35. 1556-1558 (1996)
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[Publications] M.Oda,T.Kwase,C.Wei: "Trimethylenemethanes extended with aromatic rings" Pure & Appl.Chem.68. 267-274 (1996)
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[Publications] T.Kwase,H.R.Darabi,M.Oda: "Cyclic (6) -and (8) Paraphenylacetylenes" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35. 2664-2666 (1996)
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[Publications] T.Enomoto,T.Kawase,H.Kurata,M.Oda: "Hexaaryl (3) radialenes" Tetrahedron Lett.(in press).
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[Publications] M.Oda: "Carbocyclic Three-Membered Ring Compounds (分担)" Thieme Verlag (Stuttgart Germany), 938(内分担28) (1996)