1997 Fiscal Year Annual Research Report
光反応により得られるコバルト(III)-炭素結合をもつ錯体の立体化学と反応性
Project/Area Number |
08454211
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
川口 浩 高知大学, 理学部, 教授 (50036571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿万 智治 高知大学, 理学部, 教授 (60036580)
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Keywords | 金属錯体 / 立体化学 / 反応機構 / 光反応 / 異性化 / 脱炭酸反応 / 金属炭素結合 |
Research Abstract |
u-fac-及びs-fac[Co(tda)(dien)]^+の光脱炭酸反応によってCo-C結合をもつfac-trans(NH,S)-[Co(CH_2SCH_2COO)(dien)]^+が収率よく得られる。光脱炭酸反応によりCo-C結合ができる反応については、Poznyak等によりLMCT(Co-O)よるCo-Oホモリシスの反応機構が提案されている。[Co(tda)(dien)]^+の光脱炭酸反応の波長依存性を外部照射型キセノン水銀ランプと色ガラスフィルターを用いて行い、光量はK_3[Fe(OX)_3]光量計により補正した。 その結果、270nm〜330nmの光が脱炭酸反応に大きく寄与していることが明らかになったこの吸収帯はCo-Sの電荷移動吸収と考えられていたが、Co-Oの電荷移動吸収と重なっているのかもしれない。また、より短波長領域の光を用いると生成物の収量が減少する。これは出発物質の分解反応や生成物の後続反応が起こるためと考えられる。 5員環キレートを有する[Co(tda)(dien)]^+の代わりに6員環キレートを有する[Co(tdp)-(dien)]^+を用いて光反応を試みたが、相当する光反応生成物は得られなかった。[Co(smma)(trien)]^<2+>の光脱炭酸反応では、Co-C-S3員環を有する[Co(CH_2S(CH_3))(trien)]^<2+>が得られた。しかし、[Co(smma)(tren)]^<2+>の光反応では脱炭酸反応は起こるもののその生成物の分光学的性質は全く異なる。チオカルボン酸錯体の光脱炭酸反応についてはさらに詳細な研究が必要である。 [Co(eddp)(en)]^+、[Co(eddp)(phen)]^+等のアミノカルボン酸錯体の光脱炭酸反応の波長依存性を調べたところ、270nm〜310nm領域の光が大きく寄与していることが明らかになった。また、この領域の吸収強度が出発物で大きく生成物で小さければ、生成物の収量がよかった。
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