1996 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄架橋金属クラスター錯体の立体化学,光化学および磁性
Project/Area Number |
08454215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
柴原 隆志 岡山理科大学, 理学部, 教授 (30122386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 弦太 岡山理科大学, 理学部, 助手 (90278911)
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Keywords | 硫黄架橋 / クラスター / アセチレン / 光学活性 / ガリウム / 光化学 / 磁性 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
平成8年度は以下の研究実績を得ることができた。 1)不完全キュバン型硫黄架橋クラスター錯体[Mo_3S_4(H_2O)_9]^<4+>(A)のアセチレンとの反応生成物を[Mo_<3->(μ_3-S)(μ-S)(μ-S_2C_2H_2)(H_2O)_9](pts)_4・10H_2O(B′)として結晶化することに成功した。X線結晶構造解析を行い、すでに報告されている[Mo_3OS_3(H_2O)_9]^<4+>(C)とアセチレンとの反応より得た、[Mo_3(μ_3-S)(μ-O)(μ-S_2C_2H_2)-(H_2O)_9](pts)_4・7H_2O(D′)の構造と比較検討した。これらの構造を基にしてDV-Xα法による分子軌道計算を行った(第46回錯体化学討論会(1PB11)および第9回DV-Xα研究会(C8)にて発表)。 2)Cのイミノニ酢酸を配位子とする誘導体[Mo_3OS_3(ida)_3]^<2->(E)の幾何異性体のカラム分離に成功した。第3分画のアセチレン誘導体エチルプロピオレートとの反応生成物の光学分割を行い、CDスペクトルの測定に成功した。(第46回錯体化学討論会にて発表(1A120))。 3)太陽光に敏感な複核錯体[Mo_2(μ-S_2)(μ-S_2C_2Ph_2)_2(S_2C_2Ph_2)_2]の有功波長が580-620mmであることを確認した。また、類似の配位子をもつ錯体[Mo_2(μ-S_2)_2(μ-S_4)(S_2C_2Ph_2)_2]を初めて合成し、X線構造解析を行い物性の比較を行った(第46回錯体化学討論会にて発表(1A119))。 4)混合金属錯体[Mo_3GaS_4(H_2O)_<12>]^<n+>(F,n=5;G,n=6)を酸濃度を調節することにより合成した。Fは水素イオンにより酸化されGを生じ、水素を発生する。磁気的挙動をSQUID法を用いてヘリウム温度から室温まで測定し興味ある結果を得た(第46回錯体化学討論会にて発表(1PA449))。 5)硫黄架橋錯体[(H_2O)_9Mo_3S_4Mo_3(H_2O)_9]^<8+>(H)の誘導体[(ida)_3Mo_3S_4MoS_4-Mo_3(ida)_3]^<4->(I)を合成し,電気化学を行った。また、HのDV-Xα法による分子軌道計算を行い、電子スペクトルなどのシミュレイションをおこなった。(第46回錯体化学討論会(1PA45)および第9回DV-Xα研究会(C8)にて発表)。 6)硫黄/酸素架橋タングステンアクアクラスター錯体[W_3S_4(H_2O)_9]_<4+>(J)および[W_3OS_3(H_2O)_9]^<4+>(K)はアセチレンと反応しないが、それらのチオシアナト誘導体はアセチレンと反応することを見いだした。(第46回錯体化学討論会にて発表(1PB43))。
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Research Products
(1 results)