1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属ポルフィリン錯体の生成反応機構と分析化学への新展開
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08454238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田端 正明 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40039285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 潤 佐賀大学, 理工学部, 助手 (80253582)
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Keywords | ポルフィリン / リチウムイオン / 吸光光度定量 / 海水 |
Research Abstract |
アルカリ金属イオンはかたい酸であるのでかたい塩基である酸素原子を含む配位子、例えば、クラウンエーテル、と強く結合する。しかし、我々は窒素原子からなる大環状配位子のポルフィリンでも8個の臭素原子の導入によってリチウムイオンと反応することができることを見いだした(Bull.Chem.Soc.Jpn,(1996)。その原因はつぎのことに起因する。(1)8個の臭素原子の電気吸引性によってポルフィリンの塩基性が減少し、通常では解離しないピロールのプロトンがpH10で解離する(pKa=10.06)。即ち、金属イオンとポルフィリンとの反応によるプロトン解離が起こり易くなった。(2)8個臭素原子の導入によって臭素原子間の反発によりポルフィリン環が歪み、リチュウムイオンとポルフィリンの反応が速くなった。(3)リチュウムイオン半径(70pm)は亜鉛イオンの半径(72pm)とほぼ同じであり、ポルフィリン環の中に挿入するのに最適なイオン半径である。0.1M LiOH中でのポルフィリンとの条件生成定数は対数値で4.6であった。クラウンエーテルは水溶液中でほとんどリチュウムイオンと反応しないので、水溶性ポルフィリンとリチュウムイオンと安定な錯体を生成することが明らかとなった。 ナトリウムイオンは1M濃度でも反応しないのでリチュウムイオンの選択的定量法について検討した。ナトリウムやカリウムイオンは0.1M濃度でもリチュウムイオンの定量を防げなかった。多くの重金属イオンはポルフィリンと反応するので、これらの反応を防ぐために、Mg(edta)2-を加えた。これによってポルフィリンと安定な錯体を生成する金属イオン、例えば、銅、亜鉛、コバルト、鉄の影響を除くことができた。この方法を用いて海水中のリチュウムイオンの定量を行った。その濃度は1.99x10-5Mであった。炎光光度法の方がナトリウムの妨害が大きかった。このようにして、ポルフィリンを用いいるリチウムイオンの定量方を確立することができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masaaki Tabata: "Catalytic Reactions as Applied to Trace Analysis" Trend Anal.Chem.in press. (1997)
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[Publications] Masaaki Tabata: "Kinetics and Mechanism for the Formation and Dissociation Reactions of 21-(4-Nitrobenzyl)-5,10,15-20-tetrakisi(4-sulfonatophenyl)-23H-porpyrinatozinc(II)" Bull.Chem.Soc.Jpn.70(in press). (1997)
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[Publications] Masaaki Tabata: "Equilibria,Kinetics,and Mechanism of Complexation of 5,10,15,20-tetrakis(4-sulfonatophenyl)porphyrin and its N-methylated Derivatives with Cadmium(II)" Inorg.Chim.Acta. (in press). (1996)
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[Publications] Masaaki Tabata: "Spectrophotomeric Determination of a Nanomolar Amount of Ascorbic Acid Using its Catalytic Effect on Copper(II)Porphyrin Formation" Talanta. 44. 15-157 (1997)
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[Publications] 田畑正明: "電位差滴定法による難溶性銀塩の溶解度の求め方" 化学教育. 44. 604-607 (1996)
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[Publications] Masaaki Tabata: "Reaction Mechanism of Mercury(II) with Protonated N-Substituted Porphyrin" Bull.Chem.Soc.Jpn.69. 1587-1592 (1996)