1997 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ嗅覚レセプター遺伝子群の分子進化・集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
08454243
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
颯田 葉子 総研大, 教育研究交流センター, 助教授
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Keywords | 分子進化 / 嗅覚系 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究は、脊椎動物と比較して単純な嗅覚系をもち、遺伝学的および行動学的解析に優れた材料であるショウジョウバエを用いて嗅覚レセプター遺伝子のクローニングを行い、嗅覚レセプター遺伝子ファミリーの全体像、さらにその進化過程を明らかにすることを目的とした。PCR法を用いたショウジョウバエの嗅覚レセプター様遺伝子のクローニングを進めると同時に、脊椎動物の嗅覚レセプター遺伝子の起源を探るために、硬骨魚類であるメダカ(Oryzias latipes)の嗅覚レセプター遺伝子のクローニングも行った。その結果、PCR法により、メダカゲノムDNAから嗅覚レセプター遺伝子のクローニングに成功した。これら4つの遺伝子(mfOR1、mfOR2、mfOR3およびmfOR4)から推定されるレセプタータンパクは典型的な7回膜貫通ドメイン構造をもち、既知の魚類の嗅覚レセプターと最も高い相同性を示した。これらはアミノ酸レベルで互いに19〜91%の相同性を示し、3つのサブファミリーに分けられた。メダカ嗅覚レセプター遺伝子の連鎖関係を解析した結果、mfOR3とmfOR4は第20メダカ連鎖群に属し、既知のシンテニ-を表していた。 また、mfOR1とmfOR2は、既知の嗅覚レセプター遺伝子の中では最も古いタイプを示し、魚類も含めて既知のレセプターとアミノ酸レベルで20〜30%の相同性しか見られなかった。これらのメダカ嗅覚レセプターを既知の嗅覚レセプター分子群に加え、分子系統樹を作成したところ、陸上タイプのレセプターは一つの独立グループとしてさらに水生タイプから離れるようになった。
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Research Products
(1 results)