1996 Fiscal Year Annual Research Report
土壌シ-ドバンク:その動態と固体群/植生維持における役割
Project/Area Number |
08454249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物化学系, 助教授 (40191738)
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Keywords | 種子 / 土壌シ-ドバンク / 発芽 / 休眠 / 温度 / 水分 / 低温 / 変温 |
Research Abstract |
本研究では、土壌シ-ドバンクの動態を休眠/発芽温度特性から予測するためのモデル研究として、種に霞ヶ浦のヨシ原に生育するイヌタデ属植物8種を対象とし、発芽試験で休眠/発芽特性の詳細な分析を行い土壌シ-ドバンク形成の可能性やその動態について考察した。すべての種が休眠発芽温度からみて永続的なシ-ドバンクを形成する可能性を示したが、実際に野外の生育場所で発芽季節が終わった時点で土壌中に休眠中の生存種子が含まれていることが示された。また、種による低温要求性や変温感受性の違いは、それらの種の自生地における分布をよく説明するものであった。なお、地表面付近は温度だけでなく水分条件の変動も大きく、夏の乾燥や水分変動が土壌シ-ドバンクの動態に影響を与える可能性もある。そこで、研究を進めるにあたって、地表面土壌の水分を常時一定に保ち温度だけを自然の変動にまかせることのできる新しい装置を考案した。この装置を用いて、二次休眠誘導における温度と水分変動の役割について検討したところ、夏の高温条件が休眠誘導を介して土壌シ-ドバンク形成に重要な役割を果たしていることが示された。考案した実験装置は、今後土壌シ-ドバンクの研究に広く使用可能なものである。
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[Publications] Washitani I.: "Predicted genetic consequences of fertility selectin due to pollinater loss" Conservation Biology. 10. 59-62 (1996)
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[Publications] Washitani I.et al.: "Spatial variation in female fertility related interactions" Researches on Population Ecology. 38. 249-256 (1996)
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[Publications] 宮脇生成・鷲谷いづみ: "土壌シ-ドバンクを考慮した固体群動態モデル" 保全生態学研究. 1. 25-47 (1996)
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[Publications] 今橋美千代・鷲谷いづみ: "土壌シ-ドバンクを用いた河畔冠水草原の復元" 保全生態学研究. 1. 131-147 (1996)
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[Publications] 鷲谷いづみ: "地域生態系をおびやかす帰化生物" 日経サイエンス. 6月号. 50-59 (1996)
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[Publications] 鷲谷いづみ: "生物多様性と生態系の機能/安定性" 保全生態学研究. 1. 89-98 (1996)
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[Publications] 鷲谷いづみ: "オオブタクサ闘う-競争と適応の生態学" 平凡社, 219 (1996)
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[Publications] 鷲谷いづみ・矢原徹: "保全生態学入門-遺伝子から景観まで-" 文-総合出版, 269 (1996)