1997 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体局在型グルタミン合成酵素による光呼吸系調節の分子機構解明
Project/Area Number |
08454259
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
竹葉 剛 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (10046500)
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Keywords | 光呼吸 / グルタミン合成酵素 / 光傷害 / CO_2 |
Research Abstract |
1)光呼吸は、無駄な代謝系であると従来考えられてきたが、GS2遺伝子を用いてタバコを形質転換して、光吸収系の強い植物と弱い植物とを比較することにより、光呼吸が強光による光傷害を回避する仕組みであることを明らかにした。 2)光呼吸系が光呼吸を回避するのは、CO2の不足する細胞で光化学系で生成したATP/NADPHを消費するためであり、それは光呼吸系がカルビン回路とC2/C3回路を形成しているためである、という新たな解釈を行った。同時に、光化学系が全体として還元された状態にあるときに、それを酸化側にもどす機能をもつのは光呼吸系の主要な役割であることも明らかにした。 3)現在でも、光呼吸は無駄な代謝であると考える研究者が多くいるが、その考え方の問題点を明らかにするために、光合成研究会会報で紙上討論を行った。その結果、光呼吸の積極的意義を認めない研究者は、植物の葉を構成するどの細胞も、外部から供給されるCO2を同じ割合で受け取ると考えていることが明らかとなった。実際には、柵状組織は強光下でCO2不足になっていることをPAMを用いて明らかにした。 4)以上の成果を含めて、光呼吸は陸上植物が強光下で光傷害を受けないための代謝機構であることを明らかにした。 5)光呼吸系活性は強光下では高くなり、弱光下では低くなるが、その分子機構として、GS2遺伝子が強光下で活性酸素種により発現調節を受けているためであることを明らかにした。活性酸素種は、GS2プロモーターに作用していることを示すデータを得た。
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[Publications] 木崎暁子、竹葉 剛: "植物の陸上化と光呼吸" 遺伝. 51・7. 9-11 (1997)
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[Publications] Teramoto,H., Takeba,G.: "Noncoding RNA for CR20,a cytokinin-repressed gene of cucumber" Plant Mol.Biol.32. 797-808 (1996)
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[Publications] 竹葉 剛: "省施肥・ストレス耐性植物の育成" バイオサイエンス・インダストリー. 55. 35-36 (1997)
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[Publications] 竹葉 剛: "光呼吸についての2つの誤解" 光合成研究会会報. 21. 9-11 (1997)
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[Publications] 竹葉 剛: "光呼吸を抑制すると光呼吸が増加するか" 光合成研究会会報. 23. 13-18 (1998)
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[Publications] Kozaki,A., Takeba,G.: "Photorespiration protect C3 plants from photooxidation." Nature. 557. 557-560 (1996)
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[Publications] Takeba,G.: "Stress Responses of Photosynthesis Organisms : Molecular Mechanisms and Molecular Regulations (eds.Satoh K.and Murata,N.)" Springer Verlag,Heidelberg, 21 (1998)