1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08454276
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
邑田 仁 東京都立大学, 理学部, 教授 (90134452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 浩彰 東京都立大学, 理学部, 助手 (70206647)
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Keywords | 分類 / 分子系統 / ITS領域 / リンドウ科 / ツルリンドウ属 / Stenogyne節 |
Research Abstract |
DNA解析に用いるため、すでに抽出ずみのDNAを保有している中国産のリンドウ科リンドウ亜連の植物に加え、ツルリンドウ、テングノコズチ、ハナヤマツルリンドウ、トウヤクリンドウなどを国内で採集して新たにDNA抽出を行った。当初の計画ではrbcL遺伝子やmatK遺伝子の分析を行う予定であったが、最近になって発表された論文により、18S-25SrDNAのITS領域の塩基配列の解析が、リンドウ科の系統解析に有効かつ簡便であることが示唆されたので、この領域を解析することとした。抽出ずみのDNAを材料とし東京都立大学牧野標本館の機器を利用してITS領域の増幅を行った後、本研究費で備品として購入したオートシークエンサーで塩基配列の決定を行った。得られた塩基配列を、すでに知られている他種の塩基配列とともにコンピューターで比較解析し、系統樹を作成した。この結果、従来リンドウ属の1節として認められていたStenogyne節はツルリンドウ属およびCrawfurdia属と単系統群をなすことが高い確率で支持され、従来のリンドウ属は側系統群であることが明らかとなった。ツルリンドウ属を含む単系統群は種子が明らかな3面を持つという派生形質でまとめられる可能性がある。雄しべの先端が上に曲がる性質も同時に派生したかも知れないが、Crawfurdia属では失われている。この単系統群の中で、ツルリンドウ属とCrawfurdia属が単系統となり、つる性という派生形質でまとめられる。ツルリンドウ属は朔果をもつものと液果をもつものを含めて単系統にまとまったが、系統樹の解像度が低く、液果を持つものの単系統性は検証できなかった。その他の属間の系統関係については従来の結果と矛盾がなかった。
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