1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
城戸 淳二 山形大学, 工学研究科, 助教授 (50214838)
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Keywords | エレクトロルミネッセンス / ポリアリーレンエーテル / テトラフェニルジアミン / 白色発光 / トリアゾール / オキサジアゾール / クマリン6 |
Research Abstract |
本年度は、ホール輸送性であるテトラフェニルジアミン含有ポリアリーレンエーテル(P(TPD-ES))を合成し、単層型有機EL素子のホストマトリックスとして用いた。ポリマー中に電子輸送剤かつ青色発光色素であるジメチルアミノ1,2,4-トリアゾール誘導体を用いた場合には、素子からトリアゾールに由来する青色発光が観測された。分散濃度を20〜60重量%の範囲で変化させ、輝度-電圧特性を調べたところ、濃度が50%のとき最も輝度が高く、16Vで17カンデラ/平方メートルであった。当研究室では、すでにポリ(N-ビニルカルバゾール)をホストポリマーとして用いた青色発光素子で400カンデラ/平方メートル以上の輝度が得られており、それに比べるとこの素子では輝度が1/10以下と低いことがわかる。これは電子輸送剤であるトリアゾールが電位供与性基であるジメチルアミノ基を有するため、電子輸送性が低く、この素子では電子注入がホール注入に対して十分ではなく、キャリア再結合効率が低くなったためと考えられる。そこで、トリアゾールの換わりに1,3,4-オキサジアゾール誘導体(PBD)を電子輸送剤として分散した素子を作製した。PBDを30重量%分散した素子からは、青緑色発光が得られ、これはPBDとポリマーのテトラフェニルジアミン部位間のエキシプレックスからの発光であると考えられた。輝度は5カンデラ/平方メートルと低く、これはエキシプレックスからの発光量子収量が低いためと考えられる。そこで、発光中心としてレーザー色素であるクマリン6を1重量%さらに加えた素子を作製した。この素子からはクマリン6からの青緑色発光が観測され、予想どおり輝度は向上し300カンデラ/平方メートルと高くなった。以上の結果から、単層型で高輝度発光を得るには、分散する電子輸送性材料の電子輸送性が高く、発光中心には発光量子収量の高い色素を用いることが有効であることがわかった。
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