1996 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性相分離現象の普遍性の検証とその材料構造制御への応用
Project/Area Number |
08455007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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Keywords | 動的対称性 / 粘弾性相分離 / 複雑流体 / 相分離ダイナミクス / ミセル溶液 / 粘弾性緩和 / 流体力学モデル |
Research Abstract |
これまで、混合体の相分離現象は、固体モデルか、流体モデルのいずれかにより例外なく記述されると信じられてきた。高分子を含む複雑流体もその例外ではなく、その相分離は流体モデルにより記述されるというのが通説であった。我々は、高分子溶液系において、従来の固体・流体モデルで記述できない特異な相分離現象を発見し、この現象が、系を構成する2種類の分子の動的性質が著しく異なること“動的対称性の破れ"に起因していることを初めて明らかにした。我々は、この新しいタイプの相分離の本質が相分離の速度と各相の力学的性質の間の粘弾性緩和現象にあると考え、この相分離現象を、粘弾性相分離現象と名付けた。 本年度は、(1)相分離過程において高分子のスローダイナミクスにより誘起される粘弾性効果の定量的なレベルでの解明、(2)粘弾性相分離の普遍性の検証を目指し、以下のような計画で研究を行なってきた。 (1)不安定領域における相分離ダイナミクス:高分子溶液の不安定領域における構造形成を、位相差顕微鏡による直接観察とその画像解析により研究し、分子ダイナミクスの非対称性の効果による粘弾性に支配された相分離パターンと通常の界面エネルギーに支配された相分離のパターンの幾何学的な相違点(フラクタル次元の差など)を定量的に明かにした。 (2)粘弾性相分離の普遍性の検証:“動的対称性"の概念の普遍性を探るため、高分子溶液系に限らず、ミセル溶液系(具体的には、C_<12>E_5/H_2O系)などの複雑流体に関しても、相分離ダイナミクスの研究を行い、この現象が高分子系に特有のものなのか、より広い物質群に共通の普遍的な現象なのかについて明確な答えを得るため、広範な物質群について実験を行い、データ収集をした。研究は概順調に進んでおり、次年度に研究において目的の結論を出すべく、定量的な実験を終了したと言える。
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[Publications] Jun Yamamoto・Hajime Tanaka: "Shear-induced Sponge-to-Lamellar Transition in a Hyper-Swollen Lyotropic System" Physical Review Letters. 77. 4390-4393 (1997)
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[Publications] Hajime Tanaka・Tsuyoshi Sonehara: "Superheterodyne Brillouin spectroscopy using frequency-tunable lasers" Physica B. 219&220. 556-558 (1996)
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[Publications] Tsuyoshi Sonehara・Hajime Tanaka: "Forced Brillouin spectroscopy using optical generation of phonons" Physica B. 219&220. 544-546 (1996)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Simple Hydrodynamic Model of Fast-Mode Kinetics in Surface-Mediated Fluid of Phase Separation" Physical Review E. 54・2. 1709-1714 (1996)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Preservation of Droplet Collision History in Phase Separation of a Binary Fluid Mixture" Physical Review E Rapid Communication. 54・3. R2216-R2219 (1996)
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[Publications] Hajime Tanaka: "A Simple Physical Picture of Liquid-Glass Transition" Journal of Chemical Physics. 105・20. 9375-9378 (1996)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Coarsening Mechanisms of Droplet Spinodal Decomposition in Binary Fluid Mixture" Journal of Chemical Physics. 105・22. 10099-10114 (1996)