1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空中接触角測定法によるエピタキシャル成長基板表面の『その場』観察
Project/Area Number |
08455017
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松下 浩一 山形大学, 工学部, 助教授 (70124625)
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Keywords | 接触角 / エピタキシャル成長 / 表面状態 / GaAs / Ga / 液滴 / 水滴 / 超高真空 |
Research Abstract |
本研究は、エピタキシャル成長時の成長条件が基板の表面状態に与える影響を超高真空中の接触角測定で検討するものである。以下のことが明らかとなった。 1. 作製した超高真空中接触角測定装置は、雰囲気ガス(超高真空・水素ガス)、基板温度(20℃〜550℃)で使用可能である。 2. 本研究では、液滴を基板上に滴下するのではなく、GaAs基板をGa液滴上に移動・接触させる機構を開発した。これにより、Ga液滴表面の酸化膜の除去が容易となった。また、同一排気工程で、1つの基板上での複数の温度での測定を可能とした。Ga掖滴の基板からの落下が防げることも実験の再現性を上げる上で重要である。 3. 純水処理により酸化膜を成長させたGaAsを超高真空中で加熱したところ、Ga液滴の接触角は140°一定の値を示した。 4. 低溶存酸素純水処理及びセミコクリーン処理により酸化膜を除去したGaAsを超高真空中で加熱したところ、Ga液滴の接触角はどちらも140°から120°に低下した。 5. セミコクリーン処理したGaAsを加熱したところ、Ga液滴の接触角は130°から90°に低下した。水素による接触角の減少は高温になるにつれ顕著になった。 6. 濡れの尺度である固体の湿潤張力とエピタキシャル成長薄膜の電気的特性との間に相関関係を見い出した。 7. これによると、GaAs基板の表面処理としては純水処理よりもセミコクリーンや低溶存酸素純水処理が、また、低温でエピタキシャル成長させる際のガス雰囲気としては、真空中よりも水素中の方が望ましい。 本超高真空中接触角測定装置で種々の測定を行うことにより、エピタキシャル成長に最適な基板の前処理、成長条件などの最適化が可能となるものと思われる。
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