1998 Fiscal Year Annual Research Report
面発光半導体レーザを用いた超高速光フリップ・フロップの研究
Project/Area Number |
08455029
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
河口 仁司 山形大学, 工学部, 教授 (40211180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 豊 山形大学, 工学部, 助教授 (00260456)
松下 浩一 山形大学, 工学部, 助教授 (70124625)
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Keywords | 半導体レーザ / 光双安定 / ピッチフォーク型光双安定 / 面発光半導体レーザ / 全光型フリップ・フロップ動作 / 偏光スイッチング / DEMUX / 利得飽和 |
Research Abstract |
平成10年度は、本研究の最終年度として前年度につづき、面発光半導体レーザの発振偏光の双安定スイッチングに関する研究を行ない、以下の3点について成果を得た。 (1) 面発光半導体レーザの偏光双安定性を用いたフリップ・フロップ動作の解析 面発光半導体レーザに偏光が互いに直交する光パルス列を注入することにより実現される、フリップ・フロップ動作のより一層の高速化を実現するため、レート方程式を用いて詳細な解析を行った。その結果、フリップ・フロップ動作の特性は、トリガ光のパルス幅や強度に大きく依存し、これらを最適化することにより、極めて高速(>300Gbit/s)のフリップ・フロップ動作が実現できることがわかった。 (2) 全光型DEMUX動作の解析 面発光半導体レーザの偏光双安定特性を用いて、時間多重された光信号から全光型で、ビット長の変換機能をもつ超高速の多重分離(DEMUX)回路が構成できる。従来の方法では困難であった100Gbit/sの信号から数Gbit/sへのDEMUXが可能になった。10Gbit/s→1Gbit/sへの変換では20dB程度のON-OFF比が得られるが、高速になるほど劣化すること、時間ジッターは0.2ps程度であることがわかった。 (3) 利得飽和の理論的検討 半導体レーザでピッチフォーク型偏光双安定の生ずる原因は、半導体レーザのバンド内緩和効果から生ずる利得飽和効果によると考えられる。InGaAsP/InPレーザのパラメーターを用い、密度行列の運動方程式を摂動で解くことにより飽和係数を得た。計算された各飽和係数は偏光の異なる3つの光(2つの偏光が直交する発振光と1つのトリガ光)の波長が近ければ強結合条件が成りたち、双安定動作が期待できることがわかった。又、量子井戸構造半導体レーザについても同様の解析ができる見通しを得た。
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[Publications] Y.Takahashi,A.Neogi,and H.Kawaguchi,: "Polarization-dependent nonlinear gain in semiconductor lasers" IEEE J.Quantum Electron.Vol.34,No.9. 1660-1672 (1998)
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[Publications] Y.Takahashi,A.Neogi,and H.Kawaguchi,: "Nonlinear optical gains in polarization switching of semiconductor lasers" IEEE Indium Phosphide and Related Materials(IPRM '98). Thp-59. 745-748 (1998)
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[Publications] 山吉康弘,河口仁司: "面発光半導体レーザの偏光双安定性を用いた全光型超高速DEMUX" 信学技法. PS98-15,OFT98-16. 37-42 (1998)
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[Publications] 山吉康弘,河口仁司: "偏光双安定面発光半導体レーザを用いた全光型超高速DEMUX動作の解析" 1998年(平成10年)秋季、第59回応用物理学会学術講演会. 17p-X-9. 1043 (1998)
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[Publications] H.Kawaguchi: "Semiconductor photonic devices for lightwave communications" IEEE MTT-S International Microwave Symposium & Exhibition. 1-10 (1998)
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[Publications] 山吉康弘,河口仁司: "偏光双安定面発光半導体レーザを用いた全光型超高速DEMUX動作の解析(II)" 1999年(平成11年)春季、第46回応用物理学関係連合講演会. 29a-YF-4. (1999)