1997 Fiscal Year Annual Research Report
微視機構の操作に立脚した薄膜付着強度の尺度の確立と評価法の構築
Project/Area Number |
08455050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 博之 東北大学, 総長 (00005266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹野 顯 宮城工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90113860)
萱場 智雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60250677)
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
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Keywords | ダイヤモンド薄膜 / 付着強度 / 第一原理分子動力学 / 表面点欠陥 / 核発生密度 / 単独核破壊試験 / 圧子押込み試験 / 超音波透過特性 |
Research Abstract |
本研究は,薄膜付着の微視機構の把握に基づいて真の付着強度の尺度を定義し,同時に薄膜付着強度の定量的評価のための学術的基礎を確立することを目的とするものである。本年度は昨年度の研究成果を踏まえ,以下の項目に関する研究を行った。 1.簡易破壊試験と本尺度との関係の検討 プラズマ気相合成法により基板上に作製した既知の核発生密度を有するダイヤモンド薄幕に対し,ビッカース圧子を押込むことによるはく離破壊試験を行った。押込み時の荷重一変位曲線より得られる散逸エネルギから基板の塑性変形に要したエネルギを除去し,薄膜のはく離進展に伴って解放されたエネルギを実験的に算出した。この結果と昨年度に実施した単独核の破壊試験の結果とを比較し,複数の核により基板に付着する薄膜の付着強度を,ビッカース試験により定量的に評価する手順の検討を行った。 2.破壊試験との比較による定量的非破壊評価の検証と確立 上記破壊試験から得られた薄膜の付着強度を,昨年度に実施した斜入射超音波透過特性に基づく付着状態の評価結果と比較し,核の微視付着力に準拠した薄幕の付着強度を非破壊定量評価する手法の検討を行った。さらに,化学結合の電子軌道状態を取り扱う第一原理分子動力学を新たに導入して,先に提案した単独核の基板と結合のモデルを発展させ,基板表面の点欠陥においてのみダイヤモンドが基板と共有結合し,これ以外では結合しないことを確認して界面での超音波透過特性との関連を調査し,本研究で提案する評価原理の検証を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Kamiya (H.Takahashi, M.Saka and H.Abe): "Direct Measurement of the Adhesive Fracture Resistance of CDV Diamond Particles" Application of Fracture Mechanics in Electronic Packaging,ASME. AMD-222/EEP-20. 169-174 (1997)
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[Publications] S.Kamiya (M.Sato, M.Saka and H.Abe): "Fracture Toughness Estimation of THin Chemical Vapor Deposition Diamond Films Based on the Spontaneous Fracture Behavior on Quartz Glass Substrates" Journal of Applied Physics. 82・12. 6056-6061 (1997)
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[Publications] 神谷 庄司(浅田神司, 丹野 顯, 坂 真澄, 阿部博之): "圧子押込みによるダイヤモンド薄膜の破壊挙動実時間観察" 日本機械学会東北支部第33期総会・講演会講演論文集. 掲載予定. (1998)
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[Publications] 萱場 智雄(井上昭徳, 坂 真澄, 阿部博之): "ダイヤモンド核発生過程解明への分子動力学アプローチ" 日本機会学会東北支部第33期総会・講演会講演論文集. 掲載予定. (1998)
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[Publications] 萱場 智雄(井上昭徳, 坂 真澄, 阿部博之): "分子動力学によるダイヤモンド核発生の数値シュミレーション" 日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集. 掲載予定. (1998)
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[Publications] 神谷 庄司(佐藤真樹, 坂 真澄, 阿部博之): "気相合成ダイヤモンド薄膜中の残留応力" 日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集. 掲載予定. (1998)