Research Abstract |
本研究では,研究計画調書に記載したように,一様な連続物質と異なり,その内部に微小欠陥,微小亀裂,あるいは非一様組織が存在する凝集物質の衝撃現象を明らかにすることを目的として計画した.具体的には,(1)セル構造を有する凝集物質及び生体組織の衝撃荷重下における弾塑性的挙動および破壊機構の解明,(2)非一様媒質の一つとして,磁性体微粒子が液体中に分散された磁性流体を伝播する波動および衝撃波の研究,(3)それらの衝撃挙動をシミュレートできる数値解析法の開発を内容とする. (1)では,(A)代表的なセル構造体であるアルミニウムハニカムについて,顕微鏡下において静的負荷および衝撃負荷を与え,その変形・破壊機構を調査した.その結果,衝撃負荷では静的負荷とは非常に異なるハニカム特有の変形挙動を見いだした.(B)固相二酸化炭素(CO_2)が気体,液体,固体の間を容易に相変化できる凝集物質であることに着目して,その衝撃圧縮現象を実験的に調べ,構成方程式を構築する有用な結果を得た.(C)永久磁石は鋳造合金系磁石と焼結フェライト系磁石に大別されるが,組織,結晶構造及び磁区構造が非常に異なる.ここでは,これらの2種に対して衝撃負荷を与え,衝撃圧縮過程における磁場変動および衝撃負荷前後の残留磁束密度を測定し,これまでほとんど知られていない磁気的特性を見いだした. (2)では,(A)磁性流体と弾性膜の連成分散成波動について実験及び解析を行い,磁場の作用下での特有な動的特性を見いだした.また,(B)衝撃波管を用いて局所的な磁場勾配を有する磁性流体中の衝撃現象を実験的に調べ,クラスター形成に依存すると見られる興味ある衝撃波伝播挙動を見いだした. (3)では,上記(1),(2)項などで得られる構成方程式を組み込むことによって,衝撃荷重を受けるセル構造凝集物質の挙動を数値計算できる有限差分法の一部を開発し,簡単なモデル計算が可能になっている.
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