1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 もと宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 宏志 九州工業大学, 工学部, 助手 (40208161)
|
Keywords | グリース / ウレア構造 / 弾性流体潤滑 / 転がり軸受 / トライボロジー / 光干渉法 |
Research Abstract |
実際の転がり軸受の80%以上はグリース潤滑であるにもかかわらず、EHLグリース膜の形成機構に関しては未だ十分な解明がなされていない。本研究の目的は、EHLグリース膜の形成機構を解明することである。本年度は、グリース構造の相違する3種類のウレアグリースを試料として、直交溝を付与した鋼球並びに平滑鋼球とオプティカルフラットで構成される点接触面に形成されるグリース流動様相を光干渉法を用いて直接観察し、グリース膜挙動を支配する主要因子並びにその流動様相に及ぼすグリース構造の影響を把握した。得られた主な成果は次のようにまとめられる。 1.最大膜厚は増ちょう剤によって、最小膜厚は基油によってほぼ規定されることが判明した。すなわち、基油及び増ちょう剤構造がグリースEHL膜厚に及ぼす影響を分離評価する方法を確立することができた。 2.グリース膜厚は基油に運ばれる増ちょう剤の接触域への浸入に支配される。すなわち、増ちょう剤の接触域内への浸入頻度が高いほど厚く安定な膜が形成される。その際、増ちょう剤の繊維構造の種類並びにその大きさが基油粘度とともに膜厚形成の決定的要因となる。 3.グリースEHL膜厚はグリースの修復性の欠如によって時間経過とともに低下するがその低下率は増ちょう剤構造ならびに繊維構造の大きさに支配される。 4.グリースの増ちょう剤は摺動面に付着しグリース膜の崩壊を防ぐ作用がある。この付着現象のために直交溝がグリースEHL膜挙動に与える影響は基油のみで観察されるEHL膜挙動とは相違する。つまり、付着した増ちょう剤は基油に対しては固形物として振る舞う。
|