1998 Fiscal Year Annual Research Report
適応スライディングモード制御による多関節ロボットの摩擦自動補償制御則開発
Project/Area Number |
08455114
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 昭 岡山大学, 工学部, 教授 (60026234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 洋一 岡山大学, 工学部, 助手 (20284086)
増田 士朗 岡山大学, 工学部, 助教授 (60219334)
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Keywords | スライディングモード制御 / 適応制御 / ロボット制御 / 摩擦外乱補償 / オブザーバ / チャタリング / 適応スライディングモード制御 / 適応オブザーバ |
Research Abstract |
1. スライディングモード制御則をロボット制御に適用する場合の最も大きな問題点、ずなわち、スライディングモード制御に本質的に存在するチャタリングの抑制について研究を行った。スライディングモード切換制御則の切換ゲインの大きさを摩擦などの不確定外乱項の上界より大きく選ぶと外乱抑制が可能となるが、チャタリングの大きさは切換ゲインの大きさに従う。従って、チャタリング抑制を行うためには不確定外乱項の推定上界値を小さくしなければならない。そのため、上界値を同定して上界を小さく選ぶ方法と、パラメータを同定して既知となる項と上界しか分からない項に不確定項を分割することによりゲインを小さくする方法の2つの適応スライディングモード制御則がある。本研究では、この適応スライディングモード制御則で用いられる適応則を、比例積分型適応則とすることにより、さらにチャタリングが抑制できる制御則を考案した。数学的にも収束性と、従来の方法より収束が早くなることを示した。 2. 実際のロボット制御においては、エンコーダによりロボット関節角は計測できるが、角速度、角加速度は直接には測定できない。前年度の研究において、差分を用いるよりオブザーバを用いる方がチャタリング抑制にも効果があることを得ているので、本年度においても、前項の適応スライディングモード制御則にオブザーバを付加した適応オブザーバを用いたスライディングモード制御則にやはり比例積分型適応調整則を用いる方法を考案し、数学的な収束性と、収束が加速されチャタリング抑制にさらに効果があることを示した。 3. オブザーバを用いることがチャタリング抑制に効果があることが示されているが、その設計法には有効な方法が無かった。本研究において、状態オブザーバの設計問題とスライディングモード制御則のスライディング超平面の設計問題とが双対関係にあることを得たが、この結果より超平面の設計法である伝達関数の零点を指定して設計する方法を求め、同設計法をサーボ制御系のスライディングモード制御則の構成に含まれるオブザーバの設計に適用し、設計法が容易であり、実験においても有効であることを示した。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 吉永慎一,井上昭,増田士朗: "内部モデル同定機構を含む適応サーボ系の構成" システム制御情報学会論文誌. 11巻6号. 324-329 (1998)
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[Publications] 平嶋洋一,飯國洋二,足立紀彦: "カルマンフィルタを用いたCMACの一学習法" 計測自動制御学会論文集. 34巻8号. 1066-1073 (1998)
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[Publications] 増田士朗,井上昭: "固定補償要素を用いたハイブリッド適応制御系の一構成法" 計測自動制御学会論文誌. 34巻10号. 1357-1365 (1998)
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[Publications] 鈴木寛充,増田士朗: "Max代数による離散事象システムの内部モデル制御に関する研究" システム制御情報学会論文誌. 11巻12号. 647-656 (1998)
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[Publications] Akira Inoue,Yoichi Hirashima: "A Design of an Observer by Using the Duality to Sliding Mode Control Law" Proceedings of the 5th International Workshop on Variable Structure Systems,Longboat Key,Florida,USA,1998.12.11〜13. 103-107 (1998)
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[Publications] 増田士朗: "Lookahead戦略によるスーパバイザ制御" システム/制御/情報. 42巻8号. 428-433 (1998)
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[Publications] S.Masuda,H.Suzuki,A.Inoue,Y.Hirashima: "Performance Improvement in an Internal Model Control of Discrete-Event Systems Based on Max-Algebra" Proceedings of the fourth international symposium on artificial life and robotics. Vol.2. 118-121 (1999)
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[Publications] 増田士朗,矢納 陽,井上 昭,平嶋洋一: "多項式代数法と等価な状態空間法による一般化予測制御系の構成とその等価性の証明" 計測自動制御学会論文集. 35巻2号(掲載予定). (1999)
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[Publications] 矢納 陽,増田士朗,井上 昭,平嶋洋一: "状態空間法による一般化予測制御系の2自由度構成法" システム制御情報学会論文誌. 12巻2号. 106-114 (1999)
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[Publications] 井上 昭,矢納 陽,平嶋洋一: "既約分解表現を用いた強安定セルフチューニングコントローラの構成" システム制御情報学会論文誌. 12巻5号(掲載予定). (1999)
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[Publications] Akira,Inoue,Akira Yanou Youichi Hirashima: "A Design of a Strongly Stable Generalized Predictive Control Using Coprime Factorization Approach" Proceedings of 1999 American Control Conference,June 4-6,1999,San Diego,USA. (掲載予定). (1999)
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[Publications] Akira,Inoue,Akira Yanou Youichi Hirashima: "A Design of a Strongly Stable Self-Tuning Controller Using Coprime Factorization Approach" Preprints of 14th IFAC World Congress,July,5-9,1999,Beijing. (掲載予定). (1999)
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[Publications] Shiro Masuda,Sirish L.Shah: "A Design Method for a Two-degrees-of-freedom GPC Based on a State Space Approach" Preprints of 14th IFAC World Congress,July,5-9,1999,Beijing. (掲載予定). (1999)
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[Publications] 吉永慎一、井上 昭、平嶋洋一: "適応補償器による多入出力系の外乱除去と倒立振子制御への応用" 日本機械学会論文集C編. (掲載予定). (1999)
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[Publications] 松浦肇,井上 昭,平嶋洋一: "適応ロバストスライディングモード制御の一構成法" 第7回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集. 34-35 (1998)
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[Publications] 板野真也,松浦肇,井上 昭,平嶋洋一: "適応オブザーバを用いたスライディングモード制御系の設計" 第7回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集. 36-37 (1998)