1997 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導マグネットのクエンチ時における冷媒液体の電気絶縁破壊機構と耐電圧評価
Project/Area Number |
08455136
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 雅則 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (30039127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今坂 公宣 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (40264072)
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Keywords | 超伝動コイル / クエンチ / 極低温 / 冷媒液体 / 熱気泡 / 部分放電 / 密閉ボイド / 電界放出 |
Research Abstract |
本年度は、超伝導コイルのクエンチ時に発生する熱気泡挙動をシミュレーションで推定し、高耐電圧化のための気泡運動制御の検討を行うと共に、超伝導コイル用冷媒における部分放電特性と破壊現象に関する研究を行った。得られた主な結果を以下に記す。 1.冷媒液体中に発生する熱気泡に作用する力(浮力、グレディエント力など)を計算し、気泡挙動のシミュレーションモデルを構築した。浮力とグレディエント力が釣り合う位置では、滞留曲線が形成され、特に下部滞留曲線では気泡の集塊が形成される可能性があることを示した。 2.ギャップ長が長い場合には滞留曲線は形成されないが、ギャップ長が短くなると気泡の占める割合いが大きくなり液体中よりも破壊電圧が低下することを明らかにした。 3.飽和超流動ヘリウム中における直流破壊電界と破壊遅れの液体温度依存性を調べ、液体温度に関係なく、サイズ効果としての面積効果および初期電子生成機構としての陰極表面からの電界放出機構を明らかにした。 4.液体窒素中における密閉ボイドの部分放電特性を調べた結果、室温時よりも部分放電開始電圧が低下することを示した。また放電開始後の特性にはボイドの配置依存性があることを示した。 なお、本年度は研究の最終年度になるので、181ぺ一ジの報告書を出版した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 鶴 信一郎: "密閉ボイドにおける部分放電の機構と特性に及ぼす温度の影響" 電気学会放電研究会. 37-42 (1997)
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[Publications] 末廣 純也: "飽和超流動ヘリウム中の絶縁破壊特性に及ぼす液体温度と電極サイズの影響" 電気学会論文誌A. 117・7. 691-696 (1997)
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[Publications] S.Tsuru: "Partial Discharge Characteristics in Artificial Air-Filled Voids Immersed in Liquid Nitrogen" Proc.of 5th ICPADM. 228-231 (1997)
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[Publications] K.Takano: "Thermal Bubble-Triggered Breakdown of a Plane-to Cylinder Electrode Partially Covered with Thin Insulation Film in Liquid Nitrogen" Proc.of ISH. 2. 35-38 (1997)
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[Publications] 松浦 俊輔: "液体窒素中の気泡運動に対するギャップ長の影響に関する理論的検討" 電気学会論文誌A. 117・8. 881-888 (1997)
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[Publications] 高野 浩二: "液体窒素中の熱気泡トリガー絶縁破壊に与える絶縁フィルムの影響" 電気学会論文誌A. 117・10. 1026-1033 (1997)
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[Publications] M.Hara: "Insulation Design of Pool-boiling He-cooled Superconducting Coils" IEEE Trans.on DEI. 4・6. 792-799 (1997)