1996 Fiscal Year Annual Research Report
量子効果デバイスの構造設計に基づくモデリングと機能回路の研究
Project/Area Number |
08455167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 研二 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (10217127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中司 賢一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (50237252)
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Keywords | 量子効果デバイス / モデリング / 機能回路 / PLL / HEMT / RTD / デバイス構造 / 回路シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、量子効果デバイスを用いた超高速、低消費電力の機能回路システムの実用化のために、1)デバイス構造から直接デバイスをモデリングする方法、2)回路シミュレーション用モデル、3)量子効果デバイスを用いた機能回路について一次検討を行った。すなわち、デバイスシミュレータによるHEMTの特性計算や、デバイス構造から直接特性を求める物理モデルの開発を行った。さらに、HEMT、HIGFET等の化合物半導体デバイスやRTD等の新規量子効果デバイスのモデリングを行い、回路シミュレーション用モデルの一次案を得た。また、超高速・低消費電力論理回路としてRTD負荷によるHEMT論理ゲートを構成し、その基本特性を計算機シミュレーションにより検討した。インバータ、NAND素子とDFFの特性を、従来の抵抗負荷DCFL(Direct Coupled FET Logic)とD-HEMT(デプレッションモードHEMT)負荷DCFLと比較した。その結果、RTD/HEMT論理ゲートは3種類の構成の中でもっと速く、消費電力も小さいことを明らかにした。次に、PLL用の機能回路である位相比較器(PC)、電圧制御発振器(VCO)をRTD/HEMTゲートを用いて設計し、その特性計算を計算した。その結果、PCは500MHzまで動作し、VCOはプッシュプルバッファインバータによるリング発振器で3GHzまで発振可能であった。これらHEMTやRTDデバイス等の量子効果デバイスでPLLを構成すると、動作周波数500MHz、消費電力数mWでが実現可能であることがわかった。この上限周波数は、PCの動作周波数によって制限されており、PCをより高速化することにより数GHzオーダーのPLLが可能であることがわかった。今後、微細加工技術や回路デバイスの最適化を含めたより詳細な検討と高性能化の検討を進め、設計技術としてまとめていく予定である。
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