1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455242
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田中 修三 明星大学, 理工学部, 教授 (00171760)
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Keywords | 還元的脱塩素 / メタン生成細菌 / クロロフェノール / pH / 温度 |
Research Abstract |
本年度は,メタン生成細菌(MPB)による2クロロフェノール(2CP)の還元的脱塩素に及ぼすpHと温度の影響を調べるため,温度37°Cで50mg/Lの2CPに十分馴養した嫌気性汚泥を植種した回分式反応器を用いて,pHと温度をそれぞれpH7と温度37°Cを対照系として段階的に変えながら実験を行った。なお,嫌気的環境下で2CPがMPBにより脱塩素されることについては,昨年度の実験で確認した。 まずpHの影響として,MPBによる2CPの脱塩素速度はpH7の系(対照系)が最も高く,pH8の系では脱塩素速度が大きく低下し,2CPが約40%分解したところで脱塩素およびメタン生成ともにほとんど停止することが分かった。一方,pH6の系では2CPの脱塩素速度が対照系に比べて約20%低下し,pH5になると2CPが約70%の分解を受けたところで停止した。また,pH5の系ではメタンの生成は見られなかった。 つぎに温度の影響としては,温度37°Cの系(対照系)と45°Cの系では2CP脱塩素速度に違いはなく,脱塩素の結果生成されるフェノールの分解速度はむしろ45°Cの系の方が若干高いことが分かった。しかし,50°Cの系になると2CPの脱塩素に対照系の1.5倍の時間を要し,フェノールの分解速度は大きく低下した。一方,30°Cの系では2CPの脱塩素に対照系の2倍の時間を要し,フェノールの分解には1.5倍の時間を要した。さらに,25°Cになると2CPの脱塩素速度が大きく低下し,20°Cの系では2CPが約60%の分解を受けたところで停止した。 これらの結果から,MPBによる2CPの脱塩素においてpHは6〜7および温度は37〜45°Cが最適条件であることが明らかになり,2CPの脱塩素反応はpH5と8で停止し,また2CP脱塩素の最適温度はメタン生成の一般的な最適温度より高い範囲にあることが明らかになった。
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