1998 Fiscal Year Annual Research Report
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08455242
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Research Institution | MEISEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 修三 明星大学, 理工学部, 教授 (00171760)
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Keywords | 還元的脱塩素 / メタン生成細菌 / 硝酸塩還元 / 脱窒細菌 / 真正細菌 / 電子供与体 / クロロフェノール |
Research Abstract |
本年度は,硝酸塩存在下での嫌気性消化汚泥による2-クロロフェノール(2CP)の生分解,すなわち硝酸塩還元(脱窒)と2CP分解との関連を調べた。さらに,嫌気性条件下にある河川底泥を用いた2CPの生分解も調べ,昨年度までに行った消化汚泥による2CPの生分解との比較検討を試みた。 電子供与体としての酢酸が存在する場合,硝酸塩の有無にかかわらず,2CPは消化汚泥により還元的に脱塩素され,フェノールに転換された。また,硝酸塩添加系で阻害剤(クロロホルム,BESA)によりメタン生成細菌(MPB)の活性を抑えると,硝酸塩は窒素に還元(脱窒)されるが2CPは全く分解されないことから,2CPはMPBにより還元的に脱塩素されることが確認された。一方,電子供与体(酢酸)が存在しない場合,硝酸塩を添加していない系では2CPの生分解は起こらないが,硝酸塩を添加すると硝酸塩還元とカップリングした2CPの生分解,すなわち2CPの酸化的分解が起こることが明らかになった。嫌気的環境において,2CPは電子供与体の有無によって,還元的脱塩素あるいは酸化的分解を受けることが分かった。 河川底泥による生分解試験において,MPBの活性を阻害剤により抑えても2CPは分解されるが,真正細菌の阻害剤であるパンコマイシンを脱窒細菌や硫酸塩還元細菌を阻害しないレベルで添加すると,MPBのメタン生成活性は十分維持されているにもかかわらず,2CPの分解はほとんど停止した。消化汚泥による2CP分解とは異なり,河川底泥中には2CPの分解能を持つ真正細菌(脱窒細菌や硫酸塩還元細菌を除く)が存在し,逆にMPBはその分解能を持っていなかったことになる。このことより,MPBおよび真正細菌のうちある種(species)の細菌が2CPの還元的脱塩素を行う能力を有しており,嫌気的環境におけるMPBや真正細菌の優占種によって2CPの生分解過程は異なることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shuzo Tanaka: "Control of Sulfate Reduction by Molybdate in Anacrabic Digestion" Wat.Sci.Tech.Vol.36. 143-150 (1997)
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[Publications] 稲森 悠平: "埋立地浸出水に含有される有害化学物質の生物・化学的処理特性" 第33回日本水環境学会年会講演集. Vol.33. (1999)